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#55

“Athlete” 若生裕太 (やり投げ・視覚障がいクラス)
“With” 高橋昌希 (マネジメント担当)

パラ陸上・やり投げの視覚障がいクラスで東京パラリンピック出場を目指す、若生裕太(23)。
去年5月、競技歴わずか1年で日本記録を更新したやり投げ界のホープ。
 
20歳の時に『レーベル遺伝性視神経症』が発症し、現在は視力が約0.01。視野の中心約40%が見えていない。
そのため、投げたやりの行方も見えていないという。投げた時の体の感覚や、やりが地面に刺さった音で確かめながら、日々、感覚を研ぎ澄ませて練習に取り組んでいる。
 
夢の舞台を目指す若生には、欠かせない人物がいる。
視覚障がい者をサポートする会社を経営している、高橋昌希(29)。多くのパラアスリートが仕事をしながら競技に取り組んでいるが、今年4月、競技歴わずか2年の若生と異例のプロ契約を結び、競技に専念できるようにサポートをしている。
 
自身の会社を経営しながら、週のおよそ半分を若生のために当てているという高橋。サポートは多岐にわたる。
移動中には声をかけながら若生の安全を確保し、通常は選手自身が準備をする大会のエントリーシートも高橋が作成し申請。若生のことを知ってもらうためにホームページを自ら制作し、さらには、年間で最低100万円はかかるという活動資金を工面するため、スポンサー集めにも奔走している。
 
来年4月1日までに世界ランキング6位以内(※)で、東京パラリンピック出場権を獲得できるが、現在、若生の世界ランキング8位。高橋の後押しを受け、夢の大舞台を目指す。
※東京パラリンピック出場内定条件の一部


若生裕太(わこう・ゆうた)※写真左

1997年5月25日生まれ
2017年、20歳の時に『レーベル遺伝性視神経症』が発症し、現在は視力が約0.01。視野の中心約40%が見えていない。2018年からやり投げを始めた。
世界ランキングは8位(2020年9月5日時点)
 
<戦績>
2019年5月 ワールドパラアスレティクス グランプリ大会(北京)で日本記録を更新(記録 52m20)
2019年6月 日本パラ陸上競技選手権大会 優勝(記録 54m25)
2019年7月 ジャパンパラ競技大会 優勝(記録 56m94)

高橋昌希(たかはし・まさき)※写真右

株式会社mitsuki代表取締役
ガイドヘルパー(移動介護従事者)の資格を持ち、視覚障がい者をサポートする会社を経営している。
2020年4月に、若生とマネジメント契約を締結した。