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#40

“Athlete”山﨑晃裕(パラ陸上やり投げ選手)
“With”佐藤直人(コーチ)

2020年東京パラリンピックで金メダル獲得を目指す、パラ陸上やり投げ・山﨑晃裕(23)。
生まれつき、右の手首から先が短い。

山﨑は、やり投げ界に彗星の如く現れた新星だ。
競技を始めたのは約4年前。半年後には、初めて挑んだ大会で、28年間破られていなかった当時の日本記録を更新した。
そして、昨シーズンは、60m65の記録で世界ランキング4位。60m65は、現在の日本記録である(2019年6月現在)。

そんな強さを誇る山﨑。実は、元高校球児。高校2年生の秋には、チームのエースに抜擢された。
高校卒業後は、障がい者野球の世界へ。
すぐに日本代表に入り、世界大会に出場。日本を準優勝に導き、優秀選手に輝いた。
しかし山﨑は、野球を引退し、新たな挑戦への道に進む。
その時、出会ったのがやり投げだった。
「4年に一度の舞台を目指せるのであれば、挑戦しなきゃダメだろう。」
再び山﨑の挑戦が始まった。
だが、やり投げの練習環境は、そう簡単には見つからなかった。そんな折、パラスポーツの体験イベントに参加。
そこで、山﨑に手を差し伸べたのが、佐藤直人コーチ(45)だった。

佐藤は、元砲丸投げの選手。現在は、パラの日本代表の投てきコーチを務めている。
雨の中、体験イベントで熱心にやりを投げていた山﨑の熱意と才能に惹かれた。コーチを引き受け、母校の順天堂大学に掛け合い、練習環境を用意した。
競技について右も左もわからなかった山﨑に、やり投げの基礎を一から教え込んだ。

佐藤の指導の下、山﨑は着々と力をつけ、国内では敵なし。世界ランキング4位にまで上り詰めた(2018シーズン)。
来年に迫った東京パラリンピックでの金メダル獲得へ向け、今年から、ある課題に取り組み始めた。
山﨑と佐藤の、二人の挑戦を追った。


■山﨑晃裕(やまざき・あきひろ)※写真左

順天堂大学職員
1995年12月23日埼玉県生まれ。
生まれつき、右の手首から先が短い。
小学3年生から高校3年生まで、健常者に混じり野球をプレー。
障がい者野球の元日本代表。2014年、世界大会に出場し、大会の優秀選手に選ばれる活躍で準優勝に導いた。
障がい者野球に物足りなさを感じ、野球を引退。
その後、やり投げでパラリンピックへの挑戦を始める。
2016~2018年 ジャパンパラ陸上競技大会 優勝
2016~2019年 日本パラ陸上競技選手権大会 優勝
2017年 世界選手権 5位
2018年 アジア選手権 5位
2018シーズンは、世界ランキング4位。

■佐藤直人(さとう・なおと)※写真右

元砲丸投げの選手。全日本実業団対抗陸上競技選手権大会で入賞した実力を持つ。
現在は、パラの日本代表投てき部門のコーチを務めている。
2015年11月。山﨑が参加していた、パラスポーツの体験イベントに訪れたことが出会いのきっかけ。
コーチを引き受け、母校の順天堂大学に掛け合い、練習環境を用意した。
以降、山﨑のコーチを務めている。