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#55

ローマ大発掘 悪徳の都 ポンペイ

火山の噴火で滅んだ“悲劇の都”ポンペイが、犯罪に悩む“悪徳の都”でもあったことが最新の調査で明らかに! 近年発掘された大きな蔵では、貴重品を抱えた人々と、何も荷物を持たない集団の遺骨が混在…街が滅びるその時、彼らにいったい何が起きたのか、その謎を追います。
 
西暦79年、ベスビオ火山の噴火がポンペイを襲い、その後2000年近くもの間、街は灰の下にありました。人々の生活がそのまま残っているため、発掘が進むにつれて、「統制の取れた商業都市」というイメージを覆す事実が次々と発見されています。たとえば、頑丈な鍵やカンヌキ、警備員の詰め所に番犬…これは人々が、ただの泥棒対策ではなく、凶悪な犯罪組織から自らの財産と家族を守ろうとした証拠です。
 
研究者が注目したのは、近年発掘された大きな蔵です。ひとつの部屋で重なり合う55体以上の遺骨。部屋の奥の集団は一切荷物を持っていないのに、扉の近くの人々は財宝を抱え込んでいました。なぜ、こうも貧富の差が大きい集団が同じ場所で命を落とすことになったのでしょうか?
 
洗練されたローマ市民と、法に縛られない無法者が共存した“悪徳の都”ポンペイ。最期の瞬間まで、人々の営みは続いていたのです。


© BLINK FILMS 2019

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