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#18

ATLANTIC 大西洋 神秘の生態系に迫る!

神秘に満ちた大西洋の全てを探る、英国BBC「ATLANTIC」シリーズ。漆黒の深海、海岸線や島々、そしてそこに息づく動物や人々の生態を、最先端の技術を駆使して探っていきます。海の外から知ることができるのはほんのわずかな部分。圧倒的な映像美と壮絶な生き物たちのドラマでつづる渾身(こんしん)のシリーズ企画。いま、大西洋の知られざる海中世界への旅が始まります。
今回は荒れ狂う海に立ち向かう漁師たちの闘いと、神秘の海洋生物の謎に迫ります。
北極から南極までの広範囲にまたがる大西洋。美しい熱帯地方の浅瀬から未知の深海まで、その表情は地域や季節、気象条件によって大きく変ります。豊かな資源に恵まれる豊穣(ほうじょう)の海である一方で、大自然の驚異を思い知らされる場所。それでも生き物たちはリスクを追ってこの海に果敢に立ち向かうのです。それは人間も例外ではありません。この海の恵みを求めて、アイスランド、フランス、そしてカナダなど、大西洋全域から漁師たちが集まります。しかし、そこは類いまれなる危険地帯。急激に勢力を増す爆弾低気圧の発生、ハリケーン並みの高波が襲いかかる中で、絶命のリスクと闘いながら豊穣の海に挑むのです。大西洋は、わたしたち人間が地球上の生物の一種にすぎないことを改めて教えてくれる場所でもあるのです。
北極圏ノルウェー沖の1月。氷に閉ざされたこの地には生命の姿はありません。しかし、一度海中に目をやると、何十億ものニシンの群れが! 産卵のために外洋からやってきたのです。そして、その存在に引き寄せられるように、ザトウクジラや巨大なナガスクジラ、何百頭ものシャチが集まります。一方、ドミニカ共和国の岩礁は、ザトウクジラの鳴き声であふれています。そこには生まれたての赤ちゃんクジラの姿も。母クジラは、まだ呼吸に慣れない赤ちゃんを海面に押し上げて、呼吸の手助けをします。しかし、この赤ちゃんクジラが大きくなるまでには、シャチなどの天敵との闘いが待ちうけているのです。さらに、体重900キロを超える世界一大きなオサガメや、成人男性の身長をも超える体幅をもつライオンタテガミクラゲの姿も。そこは刻一刻と表情を変える神秘の世界。わたしたちの想像を絶する生態系が広がっています。


©Corinne Chevalier 2015

©Erik Rauws 2015

©Kenneth Pettersen 2015

©Kenneth Pettersen 2015