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美しき地球の四季・春編 待ち望んだ雪解けに生命が躍る

春、新しい生命誕生の季節です。しかし、それは生きるための戦いの始まりでもあります。生を受けた動物たちは、早く成長し、生きていくためのすべを身に付けなければなりません。
早春の北米では、6万頭のハイイログマが巣穴から出てきました。10週間前に出産した母グマの近くには子グマの姿が。生まれてからずっと母乳を飲み続け、今では生まれた時の20倍の大きさになっています。しかし、外界には食べ物がありません。母グマは子供たちを引き連れて、初春の谷間に下りて行かねばならないのです。初めて見る外の世界に興味津々の小グマたちをよそに、先を急ぐ母グマ。冬眠中は、他のクマからの攻撃をしのぐことができましたが、今は違います。母グマははぐれ者を待ってくれるほど優しくはありません。迷う子グマたちは、自分で何とかしなければならないのです…。
シエラマドレ山脈の森の樹木に、何百万匹というチョウが群がっています。冬の間は暖を取るためお互いに寄り添って眠り、木の枝が毛布のようにチョウを覆い、夜の寒さから守ってくれるのです。ある春らんまんの朝、なにやら動き出すチョウたちをカメラが捉えました。太陽の熱で体温が13度以上になると、彼らは一斉に飛び立ちます。その数、一億匹以上!世界で最大規模のチョウの群団です。

©David Rasmus / Shutterstock 2016

©Stephen Dalton / Nature Picture Library 2010