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#213

懐かしい蚊帳の生地がゆらめく 変幻自在な我孫子の家

千葉県、我孫子市。江戸時代の初期、水戸街道沿いに宿場町ができると交通の要衝として発展。明治の終わり頃には、風光明媚な手賀沼のほとりに別荘が建ち始め、志賀直哉、柳宗悦、武者小路実篤といった白樺派の文人たちが移住。『暗夜行路』など多くの名作が生まれました。
 
今回は、我孫子市内に建つ築48年の団地に新たな部屋を購入し、リモデルされた建築家ご夫妻を訪ねます。
実は、リモデル前は別棟にある実家で、ご両親を介護しながら同居されていたご主人。その時に感じた団地の問題点を克服しつつ、高齢化する将来も楽しく暮らしていける住まい作りに夫婦で力を合わせて挑戦したのです。
元々は3LDKに細かく仕切られた間取りで、段差もありました。そのため、東西が庭に面している恵まれた環境が活かされていませんでした。
そこで、間仕切りを取り除き開放的なワンルームに一新。部屋の両側を大まかに仕切る棚柱は、可動式にすることで柔軟にレイアウトを変更することができます。また、必要に応じて部屋を仕切る際の間仕切りには、透ける素材の蚊帳生地を採用。素材の特性を活かして、庭の緑や外光を目一杯取り込めるようにしました。
そして、バリアフリーにも適した住まいは、2024年にグッドデザイン賞を受賞したのです。
地元に根付いた建築家を目指すご夫妻はリモデル後、自宅を実際に体験してもらう交流会や見学会を開催してきました。シニア世代が外の環境と触れ合いながら、丁寧に楽しく暮らしていくための住まい作りに期待が広がるリモデルでした。
 
設計担当:岩堀未来さん・長尾亜子さん
岩堀未来+長尾亜子/BASIC DESIGN ARCHITECTS
https://www.iwahorinagao.com

【平面図】

before

after