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#204

マンションを洞窟に見立てた家

東京の「北の玄関口」として親しまれてきた上野駅。その西側に広がる上野公園一帯は、江戸の鬼門を守るために創建された徳川家の菩提寺「寛永寺」の境内でした。幕末の彰義隊の戦いや、東京大空襲で焼け野原になりましたが、今では動物園や劇場、美術館や博物館が集まる、観光客にも人気のエリアです。
 
そんな上野周辺で築43年のマンションを購入し、リモデルされたMさん。自分のこだわりを込めた住まいを作るため、L字型の間取りと眺望が気に入った現在の物件を購入。本来なら使いづらい間取りですが、アイデアを活かした大胆な設計で機能的かつ個性的な空間に一新しました。
元々は3部屋に分断されていた空間をゆるやかに繋ぐため、部屋の中に大きな正円を描いたような半月型の曲線の壁を設置。壁の内側はソファで寛いだり、食事をとるリビングダイニング的なスペースに。壁の外側を、キッチンや寝室、浴室などの生活における機能的なスペースにすることで、半月型の内と外で気分を切り替え、メリハリのあるライフスタイルが実現しました。
「カッパドキアの洞窟住居」をイメージしたという今回のリモデル。
松明を灯しているかのような照明が、部屋のアクセントにもなっています。
居心地の良さから家にいる時間が増えたというMさん。自身の生活スタイルに合った「洞穴」が、心落ち着く新しい居場所となりました。
 
設計担当: 坂田裕貴さん/株式会社 a.d.p
https://www.adp-ad.jp

【平面図】

before

after