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埼玉県の所沢市。トトロの森として知られる狭山丘陵の麓にある神社を、先祖代々およそ800年に渡り、守ってきた宮司さんのご自宅を訪ねました。
初代は、鎌倉時代の木曾義仲の家臣で、一部の神社は明治の初めまでご実家の庭にあったそうです。そんな家柄のNさんは元々小学校の教師でしたが、60歳を前に定年。現在34代目の宮司を務めていらっしゃいます。奥様は小学校の養護教諭。3人のお子さんと一緒にご実家のそばに建てたログハウスで暮らしていましたが、ご両親が亡くなった後、お父さまの意思を継いで、今回築40年の伝統的な日本家屋を、地域に貢献していけるよう、現代の暮らしに合った家にリモデルすることにしたのです。
お城などでも良く見られる「入母屋造り」の屋根の庇は、元の瓦を壊さないよう工夫して下にガルバリウム鋼板で庇を取り付け、1階の二間続きの和室は仕切りを取り払い、家族やゲストが集える広いリビングに。窓はペアガラスのサッシに変え、明るく光が入る場所に。コーナーには薪ストーブを設け家族団欒のスペースにもなりました。また、別々の場所にあった神棚をひとつにまとめるのも今回のリモデルの目的だったというNさん。1階の右手に、パブリックスペースを設け、神棚には代々伝わってきた修験道や神仏習合時代のご神体や社殿を祀りました。
庭には、徳川家康が鷹狩に訪れた時に水を飲んだという井戸があるなど、古い歴史はそのままに、現代のアイデアや技術で快適な暮らしを手に入れる事ができたリモデルでした。
設計担当:長崎昭人 / 独楽蔵 (こまぐら)
https://komagura.jp/