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#138

切り絵とパンのアトリエのある たった7坪の中野の家

新宿から中央線で4分の駅、中野。その立地の良さで、戦後、主に住宅地として開発されてきたこの街が「サブカルチャーの聖地」と呼ばれるようになったのは1990年代になってから。漫画専門の古書店によるアニメやゲームのグッズ販売がそのきっかけでした。今や国内外から多くのファンが集う街です。
今回訪れたのは、築36年の木造住宅をアトリエのある住まいに変えたT邸。切り絵作家のご主人と、パン教室を主宰する奥様の2人家族です。元々同じ職場で出会ったお二人は仕事の傍ら、趣味としてそれぞれの活動をしていましたが、3年前に一念発起。夫婦揃って退職・起業することを決めました。そして、まず取り掛かったのが二人の活動拠点となる家探しでした。
以前はマンションに暮らしていたTさんが希望したのは、人が集える空間であること。この家は建坪わずか7坪でしたが、道路に面した1階を教室も開けるオープンな場所に出来ると、大学で建築を学び建築事務所に勤めた経験を持つご主人は当初から確信していたんだそう。しかも、建築家に相談する前からご自身で設計のスケッチを描くほどでした。購入と同時に友人の建築家・江口智行さんに本格的にリモデルを依頼して、夫婦それぞれの仕事場があり人も招ける念願の住まいを手に入れたのです。
教室も開く1階の床には学校でも良く用いられるPタイルを敷き、多くの人が来るパンや作品を販売する日には土足でも上がれるようにしました。キッチンは少し間取りを変更してパン作りのための機器を設置。2階は仕事場兼リビング、ロフトには夫婦揃って収集する民芸品のコレクションを飾る部屋にして、仕事も趣味も楽しめる家になりました。さらに、たくさんの民芸品やご主人の作品を収納・展示するための様々な工夫も。家を仕事場にしたご夫婦ならではのリモデルです。
 
設計担当:江口智行建築設計事務所
http://ivyandvines.jp/

【平面図】

1F before

1F after

2F before

2F after

LOFT before

LOFT after