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#137

寅さんの地元で蔵を住まいに 文化財に登録された家

映画「男はつらいよ」の舞台として親しまれている葛飾区柴又。2017年には、駅前の寅さん像と並んで妹・さくらの銅像も建てられました。町のシンボル、柴又帝釈天の境内に続く参道には有名な団子屋さんなどが軒を連ね、昭和の面影を残す街並みが今も多くの観光客を惹きつけています。
今回訪れたのは、そんな柴又帝釈天からほど近い築約90年の蔵を住居に変えたA邸。蔵を建てたのはAさんの祖父。葛飾区誕生直後の区議会議員を務め、地域の発展に尽力されたそうです。当時は農機具の保管や小作人から納められた米を貯蔵していましたが、農業をやめた後は倉庫や物置となっていました。    Aさんがそんな蔵をリモデルしようと考えたのは、海外勤務を経て改めて日本文化の素晴らしさに気が付いたからでした。帰国後、古民家再生に詳しい建築家・西本成志さんに依頼。先代から受け継いだこの蔵を住居にリモデルして、日本の伝統が感じられる暮らしを手に入れました。できるだけ元の状態を尊重し改修されたA邸は、2018年、貴重な建築景観と評価され登録有形文化財に指定されました。
日本家屋のアイデアが随所に用いられているA邸。
古くなった「雨どい」の代わりに、砂利を敷いて雨水を処理する「雨落ち」や、通風に最適な「葦戸」、収納も兼ねた「箱階段」、などなど。
またAさんご自身が考えたという、空気を循環する画期的なアイデアも!
今回のリモデルで、昭和初期の建物が現代の暮らしに合った快適な家に見事に生まれ変わりました。
 
設計担当:西本建築事務所
http://www.nishimoto-architect.com/

【平面図】

1F before

1F after

2F before

2F after