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#76

デッキ材の大きな箱が上下左右の部屋を繋ぐ家

東京都杉並区上井草。かつてこの辺りに井草が生い茂っていたことがその名の由来とも言われますが、現在はアニメ制作会社が点在することから、「アニメの街」として知られています。
今回訪ねるのは、そんな上井草の閑静な住宅街に建つ、築17年のお宅。ここでお子さんと3人で暮らしているのがNさんご夫妻です。以前は世田谷区にお住まいでしたが、治療師の資格を持つ奥様が自宅で治療院を開設できる家に住みたいと、物件探しをしていました。そんな中で出会ったのが、木造2階建て、コンクリート造りの半地下には個室とガレージがあるこの家でした。都内の中古住宅市場ではよく見かける、ありふれた間取りのこの家を、Nさんは家族のライフスタイルに合わせた家へとリモデルしたのです。夢だった治療院はもちろん、広島出身でお好み焼きが得意な奥様こだわりの、鉄板付き特注テーブルや、ご主人の大好きなカラオケルームを備えた、まるで健康ランドのように楽しめる個性あふれる家に生まれ変わりました。
地上2階地下1階建てのN邸。1階にある玄関を入ると、なんと!デッキ材で囲まれた大きな箱が目の前に。家の中心となるこの場所は、治療室や寝室、2階のリビングや地下への入り口になっており、各部屋への空間や気持ちを切り替えるためのスイッチのような役割を果たしてくれます。デッキ材が二重に張られているこの箱ですが、天井面は2階から降り注ぐ陽光を取り入れるため、デッキ材の間隔を広くあけて張り、寝室や診療室と接する側面はその幅を狭め、内側と外側のデッキ材をずらして配置することで、視線は遮りつつも、音や気配は感じられるように工夫されています。
2階へあがると、この箱の天井面は机としてちょうどよい高さになっており、パソコン机や家事台としても活躍しています。構造上、広いベランダを確保できないN邸でしたが、このデッキ材のおかげで、室内にいながらも外の雰囲気を感じることが出来るのです。
また、半地下部分はコンクリートで作られていたため、もともと防音性に優れていました。そこで地下は家族3人で入れる大きな浴室と、ご夫婦ともに大好きだというカラオケルームを作りました。
念願の治療院を開設し、家事にも育児にも、より充実した毎日を過ごせるようになったNさんご家族。家にいながら趣味も楽しめる、夢のような空間を手にしました。こんな贅沢を実現できるのも、リモデルならではの魅力ですね。
 
設計担当:ナフ・アーキテクト&デザイン
https://naf-aad.com/index.html 

【平面図】

1F before

1F after

2F before

2F after

B1F before

B1F after