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#49

ガラスの箱が3つ並ぶ巣鴨の家

とげ抜き地蔵で有名な豊島区巣鴨。このあたりは、ソメイヨシノ発祥の地としても知られています。今回は、都電荒川線が走る、下町情緒あふれたこの街に建つお宅を訪ねます。
築11年、3階建てマンションの最上階にお住まいなのは、Sさんご夫妻です。以前はこの場所で、奥様のお母様と3人で暮らしていましたが、お母様が他界。ご夫婦二人での暮らしとなりましたが、二人で住むには無駄なスペースが多く、また、建物の北側には光が届きにくく、暗い印象が拭えませんでした。そこで、夫婦二人が快適に暮らせ、お互いの趣味も楽しめる家へとリモデルすることにしました。
S邸の中央には、ガラスの箱が3つ並んでいます。その中に収まっているのは、トイレ、キッチン、浴室です。北側にも光が届くようにと、壁ではなくガラスで仕切りました。夜にはガラスの箱の内側から漏れる光が行灯となり、部屋を美しく照らすインテリアにもなります。ガラスというと、割れやすく危険というイメージがついてまわりますが、実は強度もあり、万が一に備えて飛散防止用のシートも貼っているので安心です。熱を加えれば再利用することができるガラスは、環境にも優しい、エコな素材でもあるのです。実用性とデザイン性を兼ねた、見事なアイデアでした。
ご主人も奥様も、大の音楽好きというSさん。S邸にはなんと、アンプが5台、スピーカーは21台も設置されています。リビングやキッチン、浴室など、その空間の目的によって聴きたい音楽が変わるため、それぞれの部屋でアンプのメーカーを変え、聴きたい音楽に最も適した音が出るものを選ぶほどのこだわりよう。なかでもお風呂はあまりの心地よさに、ついつい長風呂をしてしまうんだとか。
理想の家へと生まれ変わり、「外泊したいと思わなくなった」とおっしゃる奥さま。美しいガラスの箱の中で、最高の音楽を聴く。住む人のライフスタイルにぴったりとあった、羨ましくなるようなリモデルでした。
 
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