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#45

三角天井が連なる板橋の家

今回は、中山道の宿場町として古くから栄え、都心へのアクセスがよい板橋区にあるK邸を訪ねました 施主のKさんは、奥様と3人の娘さんの5人で都内のマンションにお住まいでした。しかし、ご主人のかねてからの希望で、ご実家で暮らすご両親と同居するこ とにしました。ご主人のご実家は、ビルの3階にあります。ワンフロアの中で、二世帯、家族7人が快適に過ごせ、親世帯と子世帯のプライベート空間が確保で きるようにと、リモデルすることにしたのです。 三和土のない玄関を入るとすぐ、天井から壁、床に至るまでが味わいのある木目で包まれた、広い子供部屋が現れます。この部屋の天井はなんと、三角形をして いるのです。取り払うことのできなかった梁を、木目の美しい合板を山型に配置することで上手に隠しながら、天井を高く感じさせているこのアイデア。実は、 ご主人の友人でもある建築家の納谷さんが、お二人の共通の趣味であるアウトドアからヒントを得て生まれたそうです。三角形の谷の部分で部屋を仕切ることが できるので、将来は3姉妹それぞれの個室にすることも考えています。 南向きにありながら、昼間でも暗かったリビングダイニングは、壁を取払い、窓を大きくすることで、明るく開放的な空間へと生まれ変わりました。ダイニング からつながるキッチンは、将来は自宅で料理教室を開きたいとおっしゃる奥様こだわりのスペース。広い作業スペースが確保され、奥様とお母様はもちろん、3 人の娘さんたちもお手伝いがしやすく、家族皆で料理を楽しんでいるそうです。 いつでも家族の気配を感じていたいというお母様の希望で、ご両親の寝室とリビングを隔てる壁の一部は開閉できるようにしました。開けているときは腰かけと してちょうど良い高さに設計されており、リビングで遊ぶお孫さんたちを見守るには最適な場所となりました。 ご両親との同居が、お子さんたちにとっても最高の選択になったと語るKさんご夫妻。三角天井の下には、親子3代の元気な笑い声がいつまでも響いていまし た。
 
納谷建築設計事務所
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