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#40

スタイリッシュに甦った里山の家

今回は、四国の東側に位置する徳島県徳島市の南部、名産のスダチ畑が広がり、古き良き里山の風情が色濃く残る多家良町にある一軒のお宅を訪ねます。
 以前は神奈川県内の一戸建て住宅にお住まいだったという、施主のOさんご夫妻。徳島ご出身の奥様は、今も故郷で暮らすお母様のことが気がかりでした。そ こでご自身のリタイアを期に、お母様と同居することを決意。奥様が生まれ育った築120年にもなる古民家をリモデルし、3人で暮らすことにしたのです。  もともとアウトドアがお好きだったというOさんご夫妻。O邸の南側には裏山が広がり、そこでご主人は井戸を掘ったりキノコを栽培したりと、悠々自適の生 活を送っています。また、庭にはピザ窯や簡単な調理場も造り、奥様がご近所の方々を招き、手料理をふるまう憩いの場所となっています。
 O邸で最も印象的なのはその外観。日本家屋の小屋組みをそのまま残し、全体をガルバリウム鋼板で覆いました。天井から吊るした照明と同じ高さの部分には ガラスをはめ、外から見ると照明に照らされた小屋組みが、ガラスのあいだから浮かび上がって見えるようにデザインされています。また、以前の間取りは日本 家屋ならではの、田の字型に仕切られたものでしたが、壁や天井を取り払い、家族3人が集まって寛げる、大きなリビングダイニングキッチンになりました。裏 山側の壁はガラス張りにし、外に広がる竹林の景色を楽しむことができます。  鉄平石が敷き詰められた、玄関から建物の裏側へと続く部分はスロープになっており、お母様が自由に安全に散歩ができるよう工夫されています。この鉄平石 は室内まで続いており、屋内と屋外の境目を曖昧にすることによって、自然との一体感を感じることができるようになっています。
お母様との思い出が詰まった家を建て替えるのではなく、リモデルすることにしたOさん。建物だけでなく、家族の記憶までもが次の世代へと紡がれる、素敵なリモデルでした。
 
ファロ・デザイン
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