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#27

薪ストーブのある懐かしい家

今回辰巳琢郎が訪ねたのは、大正から昭和にかけて、多くの文人や芸術家が好んで住み着いた東京都杉並区阿佐ヶ谷。その落ち着いた風情の中に溶け込んでいる のが、Kさんのお宅です。イギリス人のKさんは奥様とイギリスで出会い、7年前に来日。当初は2DKのマンションに暮していましたが、結婚を機に新たな住 まいを探すことになりました。築250年のイギリスの伝統的な石造りの家で育ったKさんは、新築ではなく築24年の中古住宅をリモデルすることにしたので す。特長は古い日本家屋のような家。リモデル前は建売り住宅によくあるタイル貼りの外観でしたが、タイルを剥がして漆喰を塗り直し、2Fのバルコニーは木 材で囲んで懐かしい日本家屋らしさを強調しました。また、1Fにあった洋室とダイニングの間の壁を取り払い、玄関を兼ねた10帖の土間にしました。
土間の天井を剥がして梁をむき出しにし、床は掘り下げて三和土にして、そこに薪ストーブを置きました。200度近い温度で燃焼する薪ストーブの熱を効率よ く行き渡らせるため、壁と天井を取り払って吹き抜けを作り、シーリングファンを設置。真冬でもストーブ1台で家全体が暖まります。
ご夫婦の趣味で集めたアンティークの家具や古道具も以前からこの家にあったかのようにしっくりと納まっています。長い年月を経た住まいならではの味わい。
薪ストーブの柔らかな炎を見つめながら、温かな空間でゆったり過ごす優しい暮らし。夕食にストーブでじっくりと煮込んだシチューを食べながら、ワインを飲むお二人の時間が静かに流れていました。
 
クラフトサイエンス一級建築士事務所
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