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#291

旧田中家住宅Ⅰ Ⅱ

旧田中家住宅

田中家当主は代々「徳兵衛」を名乗り、味噌醸造業や材木商を営んだ。県会議員や貴族院議員を務めた4代目が大正12年に建てた。煉瓦造3階建の洋館と後に増築された和館からなり、洋館には蔵と台所が付属する。洋館の設計は、工部大学校造家学科1期生・佐立七次郎(辰野金吾と同期)の事務所で学び自分の事務所を構えた直後の桜井忍夫(さくらいしのぶ)。外観を暗紫色の化粧煉瓦と石材などで仕上げ、内部は玄関や2階を座敷としそれ以外を洋風意匠でまとめている。和館は、桜井の弟子で、没後、事務所を継承した府馬陽二。洋館東面に接続し寄棟造で建つ。