番組概要

SWITCH TV file.4 追憶の瀬戸内寂聴

 

2021年11月9日午前6時3分、作家であり僧侶の瀬戸内寂聴が逝った。享年99。

 

「切に生きる」
瀬戸内寂聴は道元のこの言葉を胸に、人間の宿命を一所懸命に文学に刻み込んだ。
世の中は儚いと瀬戸内寂聴は言う。ならば彼女は、愛別難苦の悲しみを糧として、生きながら死ぬという得度の道を選び、一時も惜しまず執筆を続けてきた。文学に生き、仏の道を問う。作家の壮絶な生き方とは何か。
SWITCHの一編集者が出会い、瀬戸内寂聴責任編集の雑誌「the寂聴」を発行した日々の軌跡、2007年のある日からはじまる作家瀬戸内寂聴の物語。

 

瀬戸内寂聴が住職を務めた岩手県二戸市浄法寺の天台寺を訪れる。
この地を訪れるのはSWITCH編集長新井敏記と、親しかった藤原新也。
そして、焚き火の時間。
瀬戸内寂聴のために火を熾す。寂聴は不在。熾火だけが赤々と燻りながら燃えていた。
波乱に富んだ人生に脚光を浴びる瀬戸内寂聴だが、番組では文学に生きた瀬戸内寂聴を
一編集者の目から描く。

 

瀬戸内寂聴と交流があった方のインタビューによって、作家としての姿が語られる。
写真家の荒木経惟、詩人の伊藤比呂美が出会った瀬戸内寂聴。
さらに、瀬戸内寂聴の貴重な映像が初公開される。
作家の野坂昭如を訪ねる姿、「the寂聴」「SWITCH」編集長新井敏記に語る創作の秘密。

 

「愛すれば執着し、執着すれば独占したく、独占したくなれば嫉妬が湧く、そして苦しむ。それが愛の悩みの基本的パターンである。そのことを人はくりかえしくりかえしながら、一向にそこから抜け出すことが出来ずに生きていく。」瀬戸内寂聴
愛をテーマに小説を書き続けた作家、瀬戸内寂聴。書くという業を生きた作家。

 

語り:小林薫、市川実日子
出演者:新井敏記、荒木経惟、伊藤比呂美、藤原新也