動画公開のお知らせ

『BS朝日 日曜スクープ』放送内容を動画公開します。
生放送でお伝えするニュース解説を放送終了後、ネットで動画公開します。
もう一度、ご覧になりたい方、見逃してしまった方、是非ともご利用ください。


■『BS朝日 日曜スクープ』7月9日の放送内容は現在、公開中です。
【東部バフムトで進撃前進】劣勢ロシアに“包囲網”領土奪還の可能性◆日曜スクープ◆
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■ロシアのリビウ攻撃 “民間人が多数犠牲” 住宅に着弾
罪なき民間人を標的とした、ロシア軍によるウクライナへのミサイル攻撃が容赦なく続く。ロシア軍は8日、ドネツク州要衝リマンの市街地にある住宅と店舗に向け、多連装ロケット砲で攻撃し、8人が死亡、13人が負傷した。一般市民が犠牲となった。また、ポーランドと接するウクライナ西部の都市リビウに、ロシアが大規模ミサイル攻撃を行った。10人が死亡、子どもを含む45人が負傷した。ロシアによる攻撃は5日夜から6日未明にかけて行われ、住民の避難は困難を極めたために、被害が拡大した。集合住宅の3階、4階部分に、ロシア軍が発射したミサイルが直撃。建物が崩壊し、レスキュー隊や近所の住民による懸命な救出作業が行われた。
 
昨年2月の侵攻開始以来、民間施設に対する攻撃では最大規模と見られている。ウクライナ空軍は、黒海から発射された巡航ミサイル「カリブル」が集合住宅などに着弾したと指摘し、「7発を撃墜したが、3発が着弾した」と明らかにした。ロシア軍の巡航ミサイル「カリブル」は黒海から発射され、ドニプロ川に沿って低空で北上した後、突然進路を西に変え、リビウを攻撃したと見られている。
 
■ザポリージャ原発“完全停止の要請”ロシア拒否の姿勢
欧州で最大級の出力を有するウクライナ南部のザポリージャ原発で、核惨事を引き起こす危険性が高いロシアの蛮行が確認されるなど、依然として緊張状態が続いている。ゼレンスキー大統領は4日、「複数の原子炉建屋の屋根に爆発物に似た物体を、ロシア軍が仕掛けたとの情報を得ている」と明らかにした。一方、ロシアのペスコフ報道官は4日、「ウクライナ政権が破壊的な結果に繋がりかねない破壊工作を実行する恐れが非常に強く、状況は極めて緊迫している」と非難した。ザポリージャ原発の爆発物を巡り、ウクライナ側は、ロシア側が爆発物を設置したと訴えているのに対し、ロシア側は、ウクライナ側が攻撃を計画していると主張するなど双方は真っ向から対立する。
 
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は7日、「原発の立ち入り調査は進展している。より多くの箇所に立ち入ることができる」としながらも、「屋根に爆発物が設置された3、4号機の屋根の調査はできていない」と厳しい状況を示唆した。IAEAは、ザポリージャ原発が4カ月ぶりに予備の送電線に再接続され、また、3月1日には、外部からの電源供給が断たれ、非常用発電機で電力を確保していたことを明らかにした。
 
グロッシ事務局長は声明の中で、「ザポリージャ原発はロシアによるウクライナ侵攻の前に6本あった予備の送電線のうち、1本だけ残っていたものと接続した」と説明したうえで、依然として、非常に脆弱で持続可能な状態ではないことを明らかにした。IAEAによると、ザポリージャ原発にある6基の原子炉のうち、5基が冷温停止中で、1基が高温停止状態にある。IAEAは、高温停止状態にある5号機の完全停止を呼びかけるが、管理するロシア側は拒否の姿勢を貫いている。
 
■ウクライナ主導権確保“激戦地バフムト前進”ロシアに包囲網
ウクライナ軍による大規模反転攻勢により、ロシア軍を押し戻すなど進撃が確認される。ウクライナ軍のシルスキー司令官は4日、米ABCテレビのインタビューで、「バフムト奪還を確信している」と語った。ウクライナ軍のチェレバティ報道官は6日、「ウクライナ軍はバフムトで主導権を確保しており、北部、南部でロシア軍を押し戻している」と、激戦での戦果を強調した。
 
米シンクタンク・戦争研究所は7日、軍事ブロガーの情報から、「ウクライナイ軍がクリシチフカの西と北の重要な高台を支配し、ウクライナ軍がロシア軍を押し込んでいる」と分析し、「ウクライナ軍が制圧することができれば、ロシア軍に対して砲撃の脅威を与えることが可能になる」とウクライナが得る軍事的優位性を示唆した。
 
英国防省は8日、ロシアの侵攻に対するウクライナの反転攻勢について、バフムト方面が再び激しい攻防の舞台になっているとしたうえで、「ロシア指導部は、過去12カ月で、ロシアが獲得した数少ない成果の一つとして、象徴的な重みを持つバフムトを譲歩することは政治的に受け入れられないだろう」と分析した。また、英国防省は、「ロシア軍がバフムトに投入できる追加予備兵力は殆どない可能性が高い」と、ロシア軍が兵力不足の窮状にあることを指摘した。
 
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(公開期間は放送から2週間です)
 
【NATO首脳会議】ワグネル反乱で“欧州警戒”ウクライナ支援策は◆日曜スクープ◆
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■ワグネル反乱で“ロシア脅威”NATO加盟国の懸念
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏によるプーチン政権に対する武装反乱は沈静化したが、周辺国はロシアを巡る有事への危機感を強め、緊張が高まっている。プリゴジン氏は武装反乱後、隣国ベラルーシに入国したと見られていたが、同国のルカシェンコ大統領は6日、プリゴジン氏がベラルーシには滞在していないことを明らかにし、「(ロシア北西部の)サンクトペテルブルクにいる。今日はモスクワかどこかに行ったかもしれない」と説明した。
 
6月27日、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるオランダ、ポーランドなど7カ国の首脳は、オランダ・ハーグで会談した。ポーランドのドゥダ大統領は会見で、「NATOとして、一段の防衛強化策を打ち出さなければならない」と強調した。11、12日には、NATO首脳会議がバルト海に面するリトアニアの首都ビリニュスで開催される。リトアニアでのNATO首脳会議は初めてとなる。バイデン米大統領、岸田総理も出席する。NATOのストルテンベルグ事務局長は、ゼレンスキー大統領の出席する予定を明らかにし、「ウクライナをNATO加盟に近づける」と結束を呼びかけた。
 
■ゼレンスキー氏“NATO加盟国を歴訪”支援継続を訴え
11日からのNATO首脳会議に先立ち、ゼレンスキー大統領はブルガリア、チェコ、スロバキア、トルコなどNATO加盟国を歴訪し、支援を呼びかけた。ゼレンスキー大統領は、歴訪直前に、米CNNの単独取材に応じ、各国からの支援ついて言及し、「支援を主導している米国には感謝している。米国や欧州の指導者に対し 早く反攻を開始するために兵器や物資が必要だ」と更なる支援を要請した。また、大規模反転攻勢については、「反攻の実施が遅れれば、より広い範囲で地雷敷設の情報は把握できた。敵に防衛線を準備する時間的猶予と可能性を与えた」と述べた。また、スペインを訪問中のゼレンスキー大統領は、「1メートルごと、1キロごとに命が失われる」として、人命尊重のために慎重姿勢を貫くことを表明した。
 
■米国がウクライナに“クラスター弾供与”国連事務総長が批判
米政府は7日、大規模反転攻勢を展開するウクライナを支援するため、クラスター弾を供与すると発表した。砲弾不足のウクライナは、数カ月前からクラスター弾の提供を求めていた。クラスター弾は、1つの爆弾から多数の小型爆弾が飛び散る兵器で、殺傷力が高く、不発として残った一部が、民間人に危害を及ぼす危険性が指摘されている。ロシア軍は既に、クラスター弾を使用していると報じられている。
 
クラスター弾に関するオスロ条約により、100カ国以上で使用が禁止されているが、米国、ロシア、ウクライナは同条約に非加盟だ。国連のハク副報道官は、「グテーレス事務総長は、クラスター爆弾の使用を禁止する国際条約を支持している。当然、戦場でのクラスター弾の使用を望んでいない」とする事務総長のコメントを発表した。今回、クラスター弾を供与する前提として、民間人が住む都市部での使用を禁じることや、不発率が2.35%以下のタイプに使用を限定することなどの条件が課された。
 
★ゲスト:鶴岡路人(慶應義塾大学准教授)、長谷川雄之(防衛省防衛研究所)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』7月2日の放送内容は現在、公開中です。
【ザポリージャ原発で退避】ロシア“爆破テロ計画か”核惨事の懸念は◆日曜スクープ◆
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■ザポリージャ原発“破壊計画”職員に退避勧告
ウクライナ国防省は6月30日、南部のザポリージャ原発を占拠しているロシア軍が退避を開始したと発表した。ロシア軍が原発の爆破を計画しているとみて警戒を強めている。ウクライナ国防省情報局は6月30日、ザポリージャ原発からロシア軍が徐々に撤退しており、職員にも5日までに退避するよう勧告が出されていると発表した。法務部長、主任検査官、物流担当副局長3人がクリミア半島に向けて出発した。
 
■ロシア“原発爆破計画”炉心溶融の危機
ゼレンスキー大統領は25日、「ロシアは原発へのテロ攻撃のシナリオを準備し承認している」と危機感を示した。ウクライナ側は、今回の退避の動きは、ロシア軍による原発の爆破計画の一環とみて警戒を強めている。米シンクタンク・戦争研究所は6月23日、冷却装置が爆破されれば、10時間経過から14日間でメルトダウン(炉心溶融)に至る可能性を指摘した。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、ザポリージャ原発にある6基の原子炉のうち5基が冷温停止中、また、1基が高温停止状態にあり、6基すべてに冷却水が必要な状況にあると説明した。グロッシ事務局長は、「地雷などの爆発物は発見されていないが、詳細な調査のために、追加の立ち入り検査をする必要がある」と強調した。
 
■ウクライナに警戒感“ロシアが原発爆破計画”有事発生の端緒は
ウクライナ国防省情報総局のブダノフ局長は、「ロシアによるザポリージャ原子力発電所爆破計画が起草され、承認された」と警戒感を示した。また、ブダノフ局長は、計画が実行されるタイミングとして、▽ヘルソン州ドニプロ川東岸からロシア軍が追い出された場合、▽ウクライナ軍の攻撃が開始される前に、ロシアの支配エリアを現状維持するための場合、2つのシナリオが準備されていると指摘した。ロイター通信によると、ロシアは23日、同国軍が占拠するウクライナ南部のザポロジエ原発について、IAEAにウクライナ軍の砲撃を阻止して、安全を確保するよう要請した。
 
■東部バフムトで前進“ロシア包囲網”領土奪還の可能性
ウクライナ軍は、4方面で大規模な反転攻勢を実施し、確実に前進する。東部バフムトの中心部にあるベルヒフカとバフムト南部のクリシチフカでは、ウクライナ軍は、領土奪還に向けて攻勢を強め、ロシア軍と激しい戦闘を続けている。ウクライナ軍の第57独立自動車化歩兵旅団のヤロスラフスキー司令官は6月29日、「バフムト西部の陣地からロシア軍を押し出し、ベルヒフカ付近で戦闘を続けている」と戦況を説明したうえで、「ベルヒフカとクリシチフカの高地にある陣地を解放することにより、ロシア軍を包囲することが可能になる」と語り、今後の戦略見通しを語った。
 
■スウェーデン製歩兵戦闘車「CV90」火力強化に期待
スウェーデン製の歩兵戦闘車「CV90」がウクライナに到着した。米経済誌フォーブスによると、「CV90」は3人乗りで機関砲を搭載、北欧の森林地帯に最適化された性能を有し、機関砲で木々をなぎ倒すほどのパワーを備えている。この「CV90」の導入により、火砲を撃つ機会が増えると見られ、バフムト地区での戦闘において、火力が大幅に強化される。ロシア軍の要塞を破壊する突破口になるものと期待されている。スウェーデンから50台の提供が約束されている。
 
■プリゴジン氏の武装反乱で混乱“ウクライナ好機“戦闘の影響は
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のプリゴジン氏が、政権に反旗を翻し、反乱を起こしたことによる国内の混乱に乗じ、ウクライナ軍は、反転攻勢に一定の結果を導いている。ウクライナのマリャル国防次官は6月27日、「ウクライナ東部での作戦を計画する際、ワグネルとロシア国防省の対立を考慮した」と、ロシア国内情勢が不安定化したことを好機としたことを語った。元米海軍特殊部隊員のファーラー氏は6月28日のSNS投稿で、「ロシア軍後退の原因は、ワグネル反乱後のロシア軍の指揮系統の困惑と士気と戦闘力の低下にある」とロシア劣勢の原因を指摘した。米戦争研究所の最新情報を基礎に戦況を詳報・解説する。
★ゲスト:高橋杉雄(防衛省防衛研究所)、廣瀬陽子(慶応義塾大学教授)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/東海大学教授)
 
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【プリゴジン反乱で包囲網】資産調査で“不正追及”政権威信に暗影は◆日曜スクープ◆
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■プリゴジン氏“ロシアに帰国か”地元メディアが目撃写真
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者プリゴジン氏とみられる人物が6月29日、サンクトペテルブルクのヘリポートで目撃されたことを、地元メディアが写真付きで報じた。プリゴジン氏は、ロシアで反乱を企てた後、ベラルーシに向かったとみられていた。ベラルーシのルカシェンコ大統領が27日、プリゴジン氏が同国にいると認めていた。記事には、サンクトペテルブルクで、プリゴジンらしき男性を乗せたヘリコプターを撮影した。マスク姿のため100%の確証はないが、ヘリコプターは関連会社の所有であると判明した」と伝えている。
 
■プリゴジン氏の経営企業に“不正調査”プーチン大統領の意図
プーチン大統領は6月27日、昨年5月からの1年間だけで、ロシア政府が、ワグネルの戦闘員の給与や報奨金などに860億ルーブル(約1400億円)の国費を支払っていたと説明した。ワグネルが負担すべきだった戦闘員への保険金支払いの1100億ルーブル(約1800億円)も肩代わりしたとされている。また、プリゴジン氏所有の企業グループ「コンコルド」の食料提供ビジネスに、国家予算から800億ルーブル(約1300億円)を支払っていたことも明らかにした。プーチン大統領は、資金使途を調査の上、不正があれば徹底的に調査を行うと強調した。
 
■プリゴジン氏の“資産剥奪か”米戦争研究所が分析
プーチン大統領は、今回の反乱に対するプリゴジン氏に対する捜査は終了したと発表した。しかし、敢えて、プリゴジン氏への資金の流れを明らかにした。米戦争研究所は6月27日、「プーチン大統領は、プリゴジン氏の評判を失墜させ、武力反乱とは無関係な罪で彼の資産を剥奪する可能性があり、一方で、反乱に対するプリゴジン氏への直接的な処罰は控えることにした」と分析した。
 
■プリゴジン氏保有の企業“解散”プーチン政権が圧力か
ロシアの国営メディアは、プリゴジン氏が保有するメディア・グループ「パトリオット」の解散を発表したと報じた。プーチン政権の圧力を受けた動きとみられ、プリゴシン氏自らが解散させたと見られている。また、米紙ワシントンポストは、サンクトペテルブルクにあるワグネル本部の近くで、車に詰め込まれた数十億ルーブルが、押収されたと報じた。
 
■反乱後も29%が“プリゴジン氏支持”ロシア世論調査
ロシアの独立系世論調査機関「レバダセンター」は、プリゴジン氏について、反乱後も29%が支持すると回答したとの世論調査結果を発表した。反乱前(22~23日)の58%から低下したものの、反乱後も29%が支持を続けている。反乱の鎮圧後も、国民の約3割が、プリゴジン氏を支持していることがわかった。
 
■ロシア軍副司令官の“逮捕情報”米紙が報道
米ブルームバーグは、ロシア軍のスロビキン副司令官がワグネルによる反乱に関与した疑いで身柄拘束され、聴取を受けていることを伝えた。米CNNは29日、スロビキン氏が、ワグネルの秘密のVIPメンバーであることが明らかになったと報じた。英調査機関「ドシエセンター」が入手した文書で、スロビキン氏がワグネルの個人登録番号を持っていたことが示されていた。ワグネルのメンバーリストには、他にも軍の高官ら30人の名前が確認されている。
 
★ゲスト:高橋杉雄(防衛省防衛研究所)、廣瀬陽子(慶應義塾大学教授)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/東海大学教授)
 
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【熊谷6人殺害・国賠判決】危険切迫を認定も“控訴棄却”遺族の無念◆日曜スクープ◆
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■警察対応の是非巡る“国賠控訴審で判決”原告の控訴棄却
2015年に埼玉県熊谷市で起きた男女6人殺害事件で、妻と娘2人が殺害されたのは、県警の不審者情報の提供が不十分だったとして、遺族の加藤裕希さんが県に約6400万円の損害賠償を求めた国家賠償請求訴訟の控訴審で、東京高裁は6月27日、請求を棄却した1審のさいたま地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却する判決を言い渡した。
 
訴えによると、当時、埼玉県警は熊谷署から逃走中だったペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者を、最初の殺人事件の「参考人」として全国に手配していた。ジョナタン受刑者の逃走については、加藤さんの事件が起きるまで、埼玉県警は明らかにしていなかった。
 
1審のさいたま地裁は昨年4月、埼玉県警の情報提供に違法性はないとして、原告の訴えを棄却した。昨年10月に始まった控訴審では1審と同様、事件の発生について予想可能かどうかという、即ち、警察が予め知り得る「予見可能性」、また、その予見可能性に基づく「結果回避義務」の存否が争点となっていた。
 
■“危険の切迫性”認定も情報提供は警察裁量
6月27日の控訴審判決で、「1件目の事件発生後の2015年9月15日正午の時点で、ジョナタン受刑者が周辺で同じような凶悪犯罪を起こす危険性が切迫していたということができる」と、〝危険の切迫性〟を認定した。しかし、控訴審判決は、「9月15日正午の時点で、埼玉県警が把握していた情報から、最初に発生した殺人事件の犯人がジョナタン受刑者であると特定し、また、類似の犯罪が連続発生することを具体的に認識していたとはいえない」としたうえで、重大事件が発生した初期段階で捜査の状況に応じて、地域住民にどの程度の情報を提供するかは警察の裁量に委ねられている」と判示した。
 
■「家族に報告できず」原告が抱く無念は
判決について、髙橋正人弁護士は、「(裁判官が)〝危険の切迫性〟については認識可能性が捜査機関になかったと言ったわけです。捜査のプロでもない裁判官が〝危険が切迫していた〟と言っている。なぜ、捜査のプロがそれを認識できないのか、非常に不思議だ」と、判決に懐疑的な姿勢を示した。原告の加藤裕希さんは、「主張が認められなかったということで、家族にはまだ報告できない」と無念さを語った。加藤さんは上告について、検討している。
 
▽埼玉・熊谷6人殺害事件
2015年9月に、住宅3軒で男女6人が殺害された事件。強盗殺人などの罪に問われたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者は2018年3月、1審・さいたま地裁で死刑判決。東京高裁は19年12月、心神耗弱を理由に1審判決を破棄、無期懲役を言い渡した。検察側は上告を見送った。最高裁が20年9月、無罪を主張する弁護側の上告を棄却、無期懲役の高裁判決が確定した。
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/東海大学教授)
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』4月16日の放送内容は現在、公開中です。
【綿井健陽ルポ戦禍の街】砲撃続く〝バフムト近郊〟日常の現実と痛苦◆日曜スクープ◆
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ウクライナの空を引き裂く戦場の轟音が、生活を営む市民を脅かす。ロシアとの激しい戦闘が続く東部ドネツク州要衝バフムト近郊の街は、砲撃音が断続的に鳴り響き、住民は恐怖と隣り合わせの生活を強いられている。今年2月下旬、バフムト近郊の〝戦禍の街〟チャシウ・ヤルに、ジャーナリスト・綿井健陽氏が入った。綿井氏はこれまで、アフガニスタンそしてイラクなど、数多くの戦争取材を敢行し、昨年3月にはウクライナに入り、キーウ近郊の街ブチャの虐殺現場などを伝えてきた。チャシウ・ヤルは、バフムトから西に約10kmに位置し、ロシア軍による侵攻の前は、1万2000人が暮らしていた。2月下旬には、7割以上の住民が避難し、街には約3000人が留まっていた。先月、今月とロシア軍がさらに街に迫り、脱出する住民が増えたため、現在は約1500人にまで減少した。
 
綿井氏が取材中にも、ウクライナ軍が反撃する砲撃音が鳴り響く。チャシウ・ヤルはウクライナ軍の反撃が断続的に行われているため、ロシア軍に狙われ、被害が相次ぐ。この街で生活するレオニドさん(44)は、綿井氏の取材に「ほんとうに酷い状況だ。砲弾、爆発。住宅の家屋を襲ってくる。この町にある家は半分がやられている」と語った。政府や軍から住民への避難指示などが出されているが、街に残る住民もいる。「チャシウ・ヤルは高齢者に加え、障害を抱える住民も多いといわれる。侵攻前から貧しい地域で、避難したくても経済的に避難が困難な住民が多いという実情が背景にある」と綿井氏は指摘する。
 
チャシウ・ヤルはロシアによるインフラ攻撃を受け、水道、電力網、また、ガスなどのインフラ設備が破壊されている。オルハさん(67)は「水も出ないし、ガスも止まっていて、アパートの中は7度。明かりもない。何もない。生き残る方法は、水を手に入れるだけしかない」、この街で生きる切実な生活の様子を綿井氏に語る。危険な状況下でも街に残る住民は様々な事情を抱えている。「パンをもらうために3時間も歩いたわ」。ハリーナさん(85)は、食料を求めて自宅から3時間の距離を歩いて配給所に訪れた。脳に障害がある息子を介護する必要から避難ができず、街で生活を続けている。「病気の息子と暮らしています。息子は脳に障害があります」と息子の介護のために、戦禍の街に残り続ける思いを語った。
 
戦争の不条理はいつも無辜の民に襲いかかる。平穏な暮らしを奪われ、住み慣れた故郷に別れを告げ、戦禍を逃れる人たちがいる。昨年4月、鉄道駅が攻撃され、多数の市民が死傷したクラマトルシクは、鉄道の重要拠点でも知られる。チャシウ・ヤルから北西に約25㎞離れ、各地からの市民の避難拠点となっている。各地の戦闘地域から逃れた市民を収容する臨時宿泊所が設置されている。綿井氏は、バフムトからクラマトルシクに逃れたマルハリータさん(70)と出会った。「激しい攻撃があるからです。それに私は年老いて、走れないのです。息子は殺され、家は焼け落ちました。財産はすべて焼かれました。何もないのです。ボロボロのリンゴの木が残っているだけです」とバフムトの家を追われた事情を語った。ジャーナリスト・綿井健陽氏が取材を通じて強く感じた印象とは何か。戦禍の街で生活を営む市民の苦悩、ロシアの侵略から逃れた避難民が受ける不条理を明らかにする。
★ゲスト:綿井健陽(ジャーナリスト)、駒木明義(朝日新聞論説委員)
★アンカー: 末延吉正(ジャーナリスト/東海大学教授)
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』3月12日の放送内容は現在、公開中です。
【熊谷6人殺害その後】〝警察の対応を問う〟控訴審結審…判決は6月◆日曜スクープ◆
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事件発生に伴う警察の注意喚起のあり方を、犯罪被害者の遺族が問う裁判の控訴審。2015年に熊谷市で起きた男女6人殺害事件で、妻と2人の娘の命を奪われた加藤裕希さんは、埼玉県警による周辺住民への注意喚起が不十分だったとして、埼玉県を相手取った裁判を起こしている。その控訴審の第3回口頭弁論が3月10日、東京高裁で開かれた。当時、埼玉県警は、最初の殺人事件が起きた際、熊谷署から逃走中だったペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者を「参考人」として全国に手配していたが、ジョナタン受刑者の逃走については、加藤さんの事件が起きるまで、埼玉県警は明らかにしていなかった。防災無線などで注意を呼び掛けることもなかった。
 
1審のさいたま地裁は去年4月、「県警の対応には問題がなかった」として、加藤さんの訴えを棄却。控訴審で加藤さん側は改めて、“最初の殺人事件が起きても、連続発生の可能性を認めることはできなかった”とする埼玉県警の主張を問題視した。埼玉県警側は「通り魔事件や複数の資産家を狙った計画的強盗殺人事件と目される兆候が認められない限り、連続発生の可能性を認めることはできない」と回答。加藤さん側の代理人、髙橋正人弁護士は「(最初の殺人事件発生後)付近住民に対して、防犯無線とかでちゃんと通告しなさいと言っているだけなのに…。こんなこと、本当に裁判官が認めるのか」と反発する。
 
加藤さんにとって、家族との幸せの思い出が残る自宅は、妻と2人の娘が犠牲になった場所でもある。加藤さんは今なお住宅ローンを支払いつつ、その自宅に積み続ける。「やはり帰ってくる場所が3人にちゃんとあるんだというのを、自分の中で思って…」と語る加藤さん。「県警に、亡くなった3人に対してきちんと向き合って謝ってほしい。でないと報われない」と訴える。ただ、加藤さん自身、精神的な負担から、この2か月近く休職している。現在、復職を検討中だ。
 
控訴審は3月10日の口頭弁論で結審し、判決の言い渡しは6月27日に決まった。司法は、地域の安全と安心にどのように向き合うのか。
 
■埼玉・熊谷6人殺害事件
2015年9月に、住宅3軒で男女6人が殺害された事件。強盗殺人などの罪に問われたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者は18年3月、1審・さいたま地裁で死刑判決。東京高裁は19年12月、心神耗弱を理由に1審判決を破棄、無期懲役を言い渡した。検察側は上告を見送った。最高裁が20年9月、無罪を主張する弁護側の上告を棄却、控訴審の高裁判決が確定した。
★アンカー:木内登英 (野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト)
 
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