放送番組審議会

BS朝日第56回 放送番組審議会議事録
BS朝日は、平成26年7月18日に、第56回放送番組審議会を開催しました。(2014.7.18)
開催日時 2014年7月18日(金)午後12時50分~午後2時30分
開催場所 BS朝日大会議室
出席者

近藤委員長
若林副委員長、近藤大博委員、玉生委員、中井委員、水口委員、野村委員、吉永委員

 

【会社側】
風間代表取締役社長、菊地専務取締役、相原取締役、横山取締役、
山田常務執行役員編成制作局専任局長、藤川執行役員編成制作局長、大和田執行役員営業局長、
江頭編成部長、柿崎制作部プロデューサー、遠藤制作部プロデューサー

 

(事務局)
佐藤事務局長、根岸担当部長、北川ライツ・考査室員、堀同室員

 

議題

(1) 会社側より報告
(2) 前回課題番組「ザ・インタビュー~トップランナーの肖像~」について報告
(3) 課題番組「珠玉の感動ストーリー ありがとう」講評
(4) 次回日程および課題番組について
(5) その他

講評

温かく穏やかなテイストで、ほっこりした気分にしてくれる番組だ。平凡な幸福感にひたることができる。
イッセー尾形さんは、滑舌よいナレーションで好感がもてる。邪魔にならず、淡々としていて番組にあっていた。テーマ曲もじわりと温かく、よかった。
出演者が自分の道に進む節目に背中を押してくれた人が、感謝の対象者であるように感じた。
意外と「ありがとう」という言葉は日常や家族間では使わない。改めて、支えてくれる家族へ感謝を伝えようとする番組の意図は伝わった。
水曜日のよる10時からという時間帯は、リアルタイムで難しいことを考えずに見ることができる。番組終了後にゆったりとした気持ちになり、家族を大事にしようと思った。
どの回でも感謝の対象となるのは「家族」が多いが、先生、友人、利害関係者など意外な関係にある人物への「ありがとう」があった方がいいのではないか。
番組の宣伝文にもあるが、「人生のターニングポイント、決断の時、そこには家族の存在があったはず。」と、家族の存在が前提にあることに驚き、違和感を覚えた。家族を強調し過ぎると、ある種の偏ったナショナリズムを植え付けかねない。
「ありがとう」という言葉の解釈が浅い。今の若者には響かないと思う。
感謝する対象を家族に特化するのではあれば、それも良いと思う。しかし、深い部分まで掘り下げて伝える必要がある。
「なぜ、今この番組なのか」「だれに何を伝えようとしているのか?」が見えない。
テレビという媒体そのものが危機的な状況にあるにもかかわらず、こうした内容の番組を安穏と放送しているのはいかがなものか。
なぜ、「今」をとらえるものを放送しないのか。テレビにはニュース性がないといけない。広い意味でのニュース性のあるものをやってもらいたい。
使い古されたネタはやめて、これを見てよかったと、はっとさせられるものを提供すべき。
出演者が個性的でないと、感動を呼び、視聴者を魅了することは難しい。
「ありがとう」を伝える一日だけを切り取ると、演出じみていて嘘っぽく感じられる。その一日に至るまでの過程を拾うことが重要ではないか。
現在は「エンターテインメント」にジャンル分けされているが、ジャーナリスティックな視点を取り入れ、「報道」というジャンルを目指しくべきではないか。
感動した回に共通していることは、感謝される側の人が魅力的な人であることだ。
静かな感動、ささやかな感動は感じるが、「ミニ自分史」的なストーリーとしての役割があるのに、出演者の半生や生い立ちが判らない。
総じて、いい番組ではあるが、力んで「感動させてやろう」としてはいけない。

田部井淳子(登山家)4/23放送
「ガンは怖くなかった。病気にはなっても病人にはならない」など心に残る言葉があった。夫婦愛が伝わり、支えているご主人の人柄もよく表れていた。しかし、自身も登山家でありながら妻のサポートにまわった、その真意までは分からなかった。また、健康推進のPRのように感じる部分もあった。山頂の景色が良くなったこともあり、感動が伝わらなかった。
研ナオコ 6/4放送
様々な仕掛けがあるのは分かるが、彼女のファンでないかぎり最後まで見続けるのは厳しい。感動はしなかった。
林家たい平 6/18放送
父母に愛されていたことが分かり、それなりの表現で伝え方はよかった。「ありがとう」と言われる人の「覚悟」を垣間見ることができた。また、昔の家庭の典型で、ストーリー性を感じ取ることはできた。父母の表情をしっかりと捉えており、テレビとしての機能はあった。ただのめりこんでまで見る、には至らなかった。わざとらしい演出で感動しなかった。
中原丈雄 6/25放送
内容として一番まとまった構成だった。わざとらしくなく、いやな気は一切しなかった。 母親の上品さが印象的で好感をもった。ただ兄妹の関係性も醸し出してほしかった。「ありがとう」を伝えようとする著名人もそうだが、やはり感謝される側の人を主役としてしっかり演出することで、感動を引きおこすことができるのではないか。
小椋佳 7/9放送
次男が脳梗塞を克服していき、家族が再構築される過程を追体験することができた。息子の闘病とリハビリを通じ、栄光と苦悩、そして改めて小椋佳という人を見たような気がした。
尾木直樹 7/16放送
母親の言葉に感銘を受けたが、尾木さん自身の人となりがどのように形成されたのか、内面から深く切り込むことができればさらに良い内容になったと思う。語りが冗長であった。

◆次回日程:第57回・10月17日<金>
◆次回課題番組:「昭和偉人伝」