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熱中ゲスト:女優 岩下志麻 (前編)

女優生活60年を迎えた岩下志麻さんをゲストに迎えます。130本を超える映画で“清純派”から“悪女”まで様々な表情の女を演じてきました。夫は映画監督の篠田正浩さん。二人で作り上げた作品は、松竹時代からの43年間で実に22作品に及びました。夫婦の出会いと二人三脚での映画作り、そして、現在も生き生きと輝きを放つ岩下さんの素顔とは。2週にわたり、その女優人生と映画への情熱に迫ります。

“悪女”に魅せられた少女時代

両親共に新劇の役者、さらに義理の伯父は劇団・前進座の座頭 河原崎長十郎という芸能一家で育った岩下さん。そんな環境の中でも女優になるとは夢にも思っていませんでしたが、小学6年生の時に見た、ある芝居に強い衝撃を受けました。岩下さんの目を釘付けにしたのは、舞台上の “悪女”の姿でした。岩下さんが“悪女”に魅せられた理由、そして女優・岩下志麻の“原点”とは。

女優王国・巨匠たちとの撮影秘話

高校在学中にテレビドラマ『バス通り裏』で女優デビューした岩下さん。軽い気持ちでのドラマ出演でしたが、それが巨匠・木下惠介監督の目に止まり、松竹に入社することになりました。その木下監督作品での撮影が最初の仕事となりましたが、緊張から現場で2度も馬に振り落とされてしまいます。今度は失敗できないと、岩下さんがとった“秘策”とは。
さらに、細かい演技指導で知られる小津安二郎監督のヒロイン役に抜擢された際には、100回ものテストを繰り返した末、ようやくOKをもらったといいます。その後、小津監督に言われた ある“言葉”が、岩下さんの女優としての飛躍の基となりました。日本映画に歴史を刻む巨匠たちとの撮影秘話を伺います。

“戦友” 夫・篠田正浩監督との出会い

岩下さんが夫の篠田正浩さんと出会ったのは19歳の時。気鋭の若手だった篠田監督が映画のヒロインを探すために開いたオーディションでした。その後、いくつもの映画でタッグを組んだ二人でしたが、互いを異性として意識するようになったきっかけは、当時“清純派”として売り出していた岩下さんからの、ある衝撃的な一言だったといいます。
その後、松竹の猛反対に遭いながらも結婚した二人は独立プロダクション「表現社」を立ち上げ、夫婦二人三脚での映画作りを始めます。初期の代表作『心中天網島』では、岩下さん自らが初めてチケット売りまでして、作品を支えました。さらに、二人の同棲中に撮影した『処刑の島』では、二人の関係を知らない ある大物俳優をドギマギさせてしまう一幕も…。互いを“戦友”と呼ぶ映画監督と女優、その出会いと挑戦の日々に迫ります。

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岩下志麻(女優)

本名:篠田志麻
出身地:東京都
趣味 :旅行
【デビュー】
1958年「バス通り裏」(NHK)
1960年「笛吹川」木下恵介監督(松竹)