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“誰かの力になりたい”という気持ちが背中を押す、 「まつやま子ども食堂」が取り組むSDGsとは?

バトンタッチ SDGsはじめてます 住み続けられるまちづくりを

BS朝日『バトンタッチ SDGsはじめてます』は、SDGsに取り組む個人や団体、自治体や企業にスポットを当て、SDGsに関心を寄せる若者がそこを訪ね、「持続可能な未来」への活動とその裏にある思いや気づきを学ぶヒューマンドキュメンタリー。若い彼らが受け取る「未来へのバトン」とは? 俳優・谷原章介がナビゲーターを務めます。

 

【地域のサポートで子どもに安全な食事を】

第1回目のテーマは「子ども食堂」。東京大学文学部4年生の二宮陽二郎(22)さんが、愛媛県松山市「まつやま子ども食堂」代表・野中玲子(46)さんが運営する「よろずやカフェ そらいろのたね」を訪ねた。

 

子ども食堂とは、子どもに無料もしくは安価で食事を提供する活動のことで、現在は全国に3,718カ所が存在し、運営は地元農家からの食材提供やSNSなどを通じた寄付でまかなわれている。「まつやま子ども食堂」のスタッフも野中さんと調理スタッフの2名のみで、ほとんどのスタッフが近くに住むお年寄りや、大学生、高校生などのボランティアスタッフだ。

 

《安全な食で子どもの身体を気づかう》

二宮さんが体験を行った日の夕食メニューは、金時人参入りチキンカレーや、毎回おかずが変わるワンプレート定食など。子どもたちたちが毎日食べても飽きないメニュー作りの工夫の他、子どもたちの身体を考えた安全な食事提供など細心の注意が払われている。

アレルギーを持つ子どもも多いため、利用している子ども全員からアレルギーの有無など、細かく聞き取りを行っているそう。また使われる野菜は無農薬のもので、これも寄付でまかなわれている。

東温市の農家・本郷茂考さんは、子ども食堂に4年にわたり無農薬野菜の寄付を続けている一人だ。

 

本郷「余った食材は廃棄することになる。喜んで食べてもらえたら嬉しい」

 

子ども食堂で使い切れなかったものは、捨てることはせず希望者に配るなどしているそう。SDGsが目指す食品ロスを減らすことにも一役買っている。

 

《寄付してもらうための取り組み》

寄付されるものは食材だけではない。子どもたちが使うおもちゃや絵本など。それ以外にも、子ども食堂の運営のために1年間で必要な金額は70万円以上だ。

 

野中「知ってもらうことが大事」

 

「まつやま子ども食堂」の運営の傍ら、野中さんは高校や大学などで子ども食堂の実態を伝える講演を積極的に行うほか、子ども食堂の様子やさまざまな情報をSNSで伝えることも日課としている。その効果もあって、ネットで初めて知ったという人からの寄付も増えているそうだ。

 

【子ども食堂が持つ複数の可能性】

食事、住まい、教育など、標準的な暮らしを送れない状態を「相対的貧困」と呼ぶ。日本の相対的貧困率の51.4%が母子家庭で、子ども全体の13.9%が貧困状態にある。野中さんが「こども食堂」を開いたきっかけは、中学校のソーシャルワーカーとして務めた時に、子どもたちの「見えない貧困問題」に触れたことだった。

ソーシャルワーカーとは、福祉・行政などのサービスに精通し、困っている人に利用できるサービスや人を提案、チームを作って問題解決をおこなう職業。野中さんはソーシャルワーカーとしての経験を活かし、シングルマザーたちの悩み相談にも乗っている。今では「まつやま子ども食堂」には、子どもだけでなく近隣のシングルマザーも足を運んでおり、様々な問題解決の手助けが行われている。

 

野中「“負”の気持ちを捨てるゴミ箱としての役割になれば」

 

「気持ちのゴミ箱としてここを利用してもらって、肩の荷を降ろしてほしい」と野中さん。多くのシングルマザーが、子ども食堂に関わる人たちの思いやりに触れ、心の平穏を取り戻しているようだ。

 

【子ども食堂は、心地良い地域作りのための発信場所】

 

二宮「子ども食堂のイメージが変わった!」

 

体験を終えた二宮さんは、「子ども食堂はお金のない子どもたちがきているイメージで、寂しい空気感なのかなと思っていた。でも実際にきてみたらみんな明るくて、親御さんも一緒に食事をしていて、一つの大切なコミュニティを作っていると感じました」と、子ども食堂の存在意義をしっかり感じた様子。

 

野中「世の中は捨てたもんじゃない」

 

野中さんは、子ども食堂の運営からさまざまな希望を感じている。「誰かのために何かをしたいと思っている人がたくさんいることを、子ども食堂を始めてから感じることが多い。心地よい地域作りのための発信場所でありたいです」。

それ受けて二宮さんも「東京に住んでいると近隣の人とコミュニケーションを取る機会はなかなかないけど、人を気づかうことはどこにいてもできるはず。何か自分のできることを探したいです」。

共通するのは人を思いやる気持ち。“誰かの力になりたい”という気持ちが、SDGsを実現するための第一歩になる。みなさんはどんなバトンを受け取ってくれましたか?
 


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