番組概要

命懸け冬の猟師食堂

最近日本でもブームとなり、様々な店が全国各地に増えている「ジビエ料理」。しかし、そんなブームとは一線を画すジビエ料理人が、静岡県浜松市にいる。
片桐邦雄(67歳)・店で使う食材となる動物を野山に分け入って罠で生け捕りにするスゴ腕の猟師でもある。まさに命懸け…危険を冒してひとり獲物と格闘する猟師のプライド。自然の恵みを最高に美味しくいただこうとする料理人の矜持に迫る。

目撃するのは女性写真家・ヨシダナギ(32歳)。主にアフリカを中心とした少数民族や先住民族を被写体に、対象者と同じ格好をして撮影…その空気にとけ込むスタイルでも知られる。
大自然と共に生きるコト、獲って・捌いて・食べるコト、自然に敬意を払い、命に真摯に向かう片桐さんの姿に、世界を見つめて来たヨシダが感じたモノとは…。

【出演】ヨシダナギ(写真家)

【放送内容】

静岡県浜松市天竜区でジビエ料理の看板を掲げ45年・割烹「竹染(ちくせん)」の主人、片桐邦雄。
冬の狩猟期間は獲物を求め、野山を車で毎日100km近く走り、イノシシやシカを捕らえるスゴ腕の猟師だ。信条は「獲物を生きたまま捕獲すること」。手づくりの罠を仕掛け、素手で生け捕る…すべては大事な命をより良い状態で頂くため。

野生の獣との闘いは、まさに真剣勝負。その闘いは狩りに出かける前から始まる。
獣に異変を見抜かれない様、己の臭いを消すため、酒もタバコもやらず、整髪料はもとより浴剤も使わない。仕事着も、期間中、一度も洗わないというストイックな生活。
今回ヨシダも猟に同行するにあたり、片桐の服を全身にまとい臨んだ。
獲物が掛かったら、たった一人、命懸けで近づき、迫りくる巨大イノシシやシカを素手で生け捕りに。

生け捕りにした獲物を自ら解体する…全ての部位を余すこと無く美味しく食べることが、獲物への最大の感謝につながる。適切に処理された獣肉…そこには、一般にいわれる獣臭さなど全く無い。肉の臭いを消す為に味噌仕立てで供されることの多いボタン鍋も、片桐の店では、より肉の味を楽しむ為、塩味で提供される。その本物の美味しさを求め、全国から客が集まる。

自然への敬意・鮮やかな技・獣との命懸けの闘い…。常に対象の懐へ飛び込み、その真実の姿を独自の視点で切り取ってきたヨシダナギ。その全てを目にし、味わい…何を感じたのか…。