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#99

「厳しい冬が生み出す天然氷」(埼玉県長瀞町)

埼玉県秩父郡の長瀞町は山に囲まれた盆地。
冬場は放射冷却が強く、朝は厳しい冷え込みとなります。
今回のみらい遺産を紹介してくれるのは、この寒さを利用して昔ながらの天然氷を作り続ける、阿左美哲男さん(65歳)。明治23年創業の氷屋を受け継ぐ5代目です。

陽が当たらず張った氷が溶けにくい沢沿いの氷池で、11月から氷が育つまで毎日、池に落ちる枯れ葉やチリ、雨や雪を払い続ける日々が続きます。

広葉樹が多い宝登山から引いてきた伏流水はミネラルを多く含み、豊かな水。
この水を少しずつ時間をかけて凍らせると、おいしい氷になるといいます。

2月。近所の方や家族総出で行う、氷の切り出し作業の日。
厳寒の地が生み出す美しい結晶が運び出されます。
阿佐見さんの天然氷で作られたかき氷は、長瀞の夏の風物詩。毎年多くの人が楽しみにしています。

「氷づくりは自然との根競べ」と語る阿佐見さん。
今ではほとんど見られなくなった伝統の製氷法を守る、その想いとは?