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#37

「大根のスダレ干し」(静岡県三島市)

今回の「みらい遺産」を紹介してくれるのは、
静岡県三島市の大根農家・内藤輝夫さん(83歳)。
美味しい根もの野菜の産地として知られる箱根山麓では、
12月初旬、大根の収穫が最盛期を迎えます。

富士や箱根山の火山灰が積もった土は深くて柔らかく、水はけも良いことから、
地中深く伸びる大根の栽培に最適。
収穫した無数の大根を、漬け物にするため天日で乾かすスダレ干しは、冬の風物詩です。

いまは広々とした畑が広がっていますが、かつてここは木々が生い茂る山でした。
輝夫さんたちの集落は、江戸の昔、駕篭の人足や休憩処の茶屋など、
峠を行き来する旅人相手の仕事で、豊かな暮らしを営んできた地域。

しかし明治時代の鉄道開通以降、街道の往来は次第に減り、
賑わいは失われてゆきました。
この地の人々は近隣の山を開墾して畑をつくり、生きる糧を求めたのです。

祖父の代に始まり、輝夫さんの代になっても続いた開墾の日々。
苦労して拓いてきた大根畑が、今年も立派に恵みをもたらしてくれます。
一年の締めくくりとなる大事な仕事に臨む、輝夫さんの想いとは・・・?