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番組概要
第33回民教協スペシャル
想画と綴り方
~戦争が奪った 子どもたちの“心”~
【放送日時】2019年7月26日(金)あさ5:00~5:55
山形県東根市の長瀞小学校に「想画」と呼ばれる昭和初期の生活画925点が受け継がれています。児童が自分を取り巻く生活のありのままを描いたもの。当時の日本は手本通り写す図画指導でしたが、長瀞小の教師たちは自分の目で社会を見つめ、得られた感動を表現する教育を進めていました。国分一太郎(こくぶん いちたろう)は 昭和5年、新採で赴任し、児童の目を生活に向けさせ詩や作文に書かせる「生活綴り方教育」を「想画」とともに実践します。
いま残る16冊の文集には、農村が疲弊し娘身売りが相次いだ時代、子どもたちが生活を見つめた詩と作文が並んでいます。
その教育は村人の共感にも支えられ、全国の「想画教育三大校」と呼ばれるようになりました。
しかし、国の統制が強まる中、綴り方教育にかかわる全国の小学教師たちが治安維持法違反で次々に検挙され、国分も山形県警特高課に検挙されます。綴り方教育がなぜ罪になるのか?
取り調べた特高主任は若き日、社会運動のリーダーでしたが兵役後、弾圧側に回るという特異な経歴の人物でした。
国分がつかまった同じ昭和16年、北海道の師範学校生だった松本五郎さん(97)は自分が描いた2枚の絵が治安維持法違反とされました。1年3か月にわたる厳しい追及の末、有罪判決を受けます。松本さんは過酷な記憶を、80歳を過ぎて語り始めました。
長瀞地区では児童が生活の様子を俳句に詠み、それを絵にして灯ろうを作る授業が続いています。国分の教え子たちはいまも国分を恩師と慕い、その教育と人柄をしのびます。
お盆の夜、堀に浮かぶたくさんの絵灯ろうが今の時代を映し出します。
番組では、絵画や作文教育が罪に落とされた時代を掘り起こし、自分の目で社会を見つめ、のびのび自由に表現することの重さ、喜びを伝えます。
ナレーター:余 貴美子