番組概要

第37回民教協スペシャル
「私の中のかけらたち~虐待を生きる22歳~」

2021年度、全国の児童相談所が対応した児童虐待は、20万件を超え過去最多を記録しました。そんななか、ニュースとして報道される悲惨な虐待死は年間数十件ほど。虐待が疑われる事案のほとんどが、報道されることのない“見えない虐待”ともいえます。
 
この春、小学校の養護教諭として働き始めた、さくら(仮名)。同僚にも子どもたちにも伝えていない過去があります。物心ついたときには始まっていた、母親からの虐待。「死ね」「消えろ」「お前なんか生まなきゃよかった」心をえぐる暴言。「ゴミかと思った」と言われて頭や体を踏みつけられた記憶。同居していた父も、祖父母も、母の虐待行為を止められませんでした。
 
警察も児童相談所も家庭の異変に気づいていたものの、さくらに命の危険がないことが分かると、それ以上家庭に介入してくることはありませんでした。もうこの家にはいられないと自ら飛び出し、高校生のときに児童養護施設に入所。必死に勉強し、奨学金を得て大学へ。2022年春、夢だった保健室の先生に。
 
「虐待を受けた私だから気づける、子どもの気持ちがある。私が幸せになるにはもう手遅れでしたけど、こんな私の過去もこの先につながるんだとしたら、何か意味があるのかなって」。
 
暗闇に飲み込まれそうになりながらも、必死に生きようともがく22歳の歩みを通して、ニュースとして報道されることのない、見えない児童虐待の本質を描きます。
 

■ナレーション
上白石萌音(女優)
 

■制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:信越放送