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【Episode 29】ギリシャ篇
The Other Side of The Ocean (彼方へ)

1900年代初頭、戦争や飢餓や迫害など様々な困難の時代に、ギリシャに「レベティコ」と言う歌が生まれた。
ブズーキと共に港や都市の酒場で歌われた人生の哀歌「レベティコ」は、虐げられた人々の心の叫びであり、苦難を乗り越え人生を強く生きていく力となった大衆歌だ。
そして、世の混乱と貧しさの中で新大陸へと旅立ったギリシャ人移民は、アメリカ合衆国に「レベティコ」を運んだ。本国から離れた地で育まれたもう一つの「レベティコ」は、近年故郷ギリシャに帰国を果たし、歌い継がれながら新たな「レベティコ」を今に生み出している。

【参加アーティスト】

Dimitris Mystakidis(ディミトリス・ミスタキディス)は、ギリシアの港町テサロニキを拠点に、ギリシアの言葉で綴られた哀歌に宿る人間の様々な物語を伝える現代の吟遊詩人。音楽家であるだけでなく、教師や学者として音楽史を伝え、多くのCDをリリースし、ギリシャ文化の様々な側面を研究する。2017年にリリースされたCD「AMERIKA」では、1900年代初頭に合衆国で歌われた、ブズーキをギターに変えたレベティコの演奏スタイル「tsibiti」により、ギリシャ移民の人生の記録を探求する。