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【Episode26】リトアニア編

バルト三国のひとつリトアニアは、多くのユダヤ人を救った杉原千畝が日本領事として赴任した地としても知られる。
人々が歌で結束し、旧ソ連から独立を果たした「歌う革命」は世界の注目を集め、今も数年ごとに何万人も動員して開催されるバルト三国の歌の祭典は名高い。
国土の三分の一が森林であるリトアニアには、キリスト教以前の自然信仰が息づき、オーガニックな食や伝統文化は、自然を敬う日本に通じるものがある。歴史の中で禁じられながらも歌い継がれた歌、森を吹く風や鳥の声とともに奏でられる笛や琴、野に咲く花々を身に纏い太陽を祀る夏至祭、自然の癒しの力を大切に受け止め、自然と共に歩む術を育んできた、リトアニアの魔法に耳を傾けたい。
毎年6月23日頃開かれる夏至祭。太陽が闇に勝利するこの日、森の植物には特別の力が宿るとされ、人々は野に出てハーブや花を摘み、冠を編んで頭を飾る。樫の木の葉で飾った門をくぐり身を浄め、大きな火を焚いて感謝の祈りを捧げて歌い踊る。火の上を飛び越える儀式では、幸福や健康を祈願する。

【出演アーティスト】
Veronika Povilioniene (ヴェロニカ・ポヴィリオニエネ)

伝統歌を歌い継いできた1946年生まれのヴェロニカは、多くの芸術賞を授与された国民的歌手であり、舞台や映画でも活躍。彼女を中心にした女性たちによる伝統歌唱「スタルティネス(調和)」や、草刈りや糸紡ぎ仕事をしながら歌ったというワーキングソングは味わい深い。

Saulius Petreikis (サウリュス・ペトレイキス)

山羊の角や石や植物、自然素材から作る笛やオカリナで、鳥の声や風の音や雨音とともに、自然と融け合う音楽世界を探求。世界のユニークな楽器を収集し、民族音楽を深く掘り下げた独自の即興パフォーマンスで、様々な分野のアーティストとの実験的取り組みや、子供たちに向けたコンサートなどを行なう。

Sen Svaja  (セン・スヴァジャ)

2010年に結成された女性三人組SEN SVAJA は、プロイセン語で ”私たち自身のもの” 、”私たちが知る人と共に” を意味する。観客を神秘的な力で引込む輪唱や、伝統打楽器や弦楽器のパフォーマンスは瞑想的世界へと導く。

Indre Jurgeleviciute

琴のような伝統弦楽器kanklės(カンクレス)を爪弾き、古の歌を歌うインドレ。世界の様々な伝統音楽とコラボレーションし作品を数々発表。

Ugniavijas

伝統衣装を纏い、古代の太鼓や弦楽器を交えた男性6人グループの力強い熱唱。