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【Episode13】“Breath” 息

イヌイットは、カナダ北部の氷雪地帯に住む先住民族。
彼らには「喉歌」という伝統がある。喉を巧みに動かし、呼気と吸気から音を発する歌唱法だ。
女性ふたりが顔を接近させて向かい合い、喉歌を掛け合わせながら、どちらが長く歌い続けられるか競うゲームは「カタジャック」と呼ばれる。
喉歌は、アイヌやシベリア、アジアの北方民族にも伝えられている。
イヌイットの喉歌を、現代に活き活きと蘇らせるターニャ・タガック(Tanya
Tagaq)は、従姉妹とふたりで伝統衣装を纏い、カタジャックを披露してくれた。
狩猟民としてイヌイットの祖先たちが生きた雪と氷の島バフィン島。純白の大自然の情景にターニャの喉歌が響く。凍った海の上を走る犬橇の犬たちと、厳しい自然の中で生きる人間の、強い絆に心打たれた。