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【Episode4】“Gathering” 宴(うたげ)

舞台はハンガリー・ブダペスト。
ジプシー音楽家ファミリーが一夜の響宴を催した。
ジプシー音楽家として名高い名門ラカトシュ家の血を継ぐヴァイロリン奏者・ミクローシ(Miklós)が、信頼し敬う仲間たちに声をかけ、31名の音楽家(7グループ)とその家族と友人たちが一堂に会した。
千年もの歳月旅をして様々な文化を結び、高められてきたジプシー音楽。
夢の競演は夜が明けるまで夜通し奏でられた。
彼らの美しい魂のメロディは、聴く者の心に深く染み込む。

 


■音楽家紹介
Miklós Lakatos (ミクローシ・ラカトシュ)
1959年生まれ。父を師とし3歳よりヴァイオリンを弾き始める。オーケストラに加わり世界を旅しながら演奏し、23歳で自信のバンドを結成。欧州の名門ホテルやレストランで演奏するキャリアを積み、ジャズ、バルカン音楽、ジプシーの超絶技巧を融合させた新しい音楽への試みを続けている。現在ブダペストのジプシー音楽レストランにて毎夜公演を行う。

Roby Lakatos(ロビー・ラカトシュ)
ヴァイオリン奏者。ハンガリーのジプシーヴァイオリンの始祖とされるJanos Bihari(1764-1827)の子孫。名門ラカトシュ家7代目。叔父は高名な演奏家シャーンドール・ラカトシュ(Sandor Lakatos)。9歳から活躍しリスト音楽院を主席で卒業。ジプシーの伝統音楽をベースとし、ジャズとクラシック音楽を融合させた独自の音楽も名高い。ラカトシュ・アンザンブルというバンドを結成し活躍。

Sárköziサルコジ家
Sárközi Lajos (父) ヴァイオリン演奏家
ifj. Sárközi Lajos (兄)ヴァイオリン演奏家 20歳
Sárközi Rudolf (弟)チェロ演奏家 16歳
Csík Sándor コントラバス演奏家 16歳
ジプシーの家族と音楽についてインタビューに応えてくれたのは、天才少年音楽家として期待の新星サルコジ兄弟。まだ20歳と16歳とは思えぬ貫禄と見事な演奏には、会場に集った先輩音楽家たちからも拍手が沸き起こった。

 


■ジプシー音楽(ロマ音楽)とは
ロマは北インドに起源を持つ移動民族。紀元千年ごろジプシー発祥の地とされるインドラジャスタン地方を旅立ち、イラン、イラク、アルメニアなど中近東を経て、15世紀頃にはエジプト、スーダン、ブルガリア、ルーマニア、」ハンガリー、ギリシャ、クロアチア、アケドニア、セルビア等へと広がってゆく。流浪の人々は、その旅の記憶と民族の歴史を音楽に託し継承してきた。旅を続け新たな土地と出会いながら、互いの文化に影響を与え合い、多面的な音楽を生み出してきた。
バルトーク、リストなどクラシック音楽家にも多大な影響を与え、スペインのフラメンコの原型もロマの音楽とダンスと言われる。