放送内容

#97

HTBノンフィクション「おっぱい2つとってみた~46歳両側乳がん~」

11人に一人が私でした。
日本人女性で乳がんになる確率は11人に一人。実は母も乳がんでした。遺伝性の可能性も否定できません。少し覚悟をしながらこれまで生きてきました。健康診断で判明したときも思ったより冷静に受け止めたはずでした。同時再建を決め、職場にも伝え、入院した日のことです。
聞かされたのは、再建手術ができなくなった、という事実。唯一、乳がん患者用に保険適用されていた人工乳房が別のがんを引き起こす、と自主回収になったのです。両胸の“全摘”をするしか選択肢はありませんでした。
手術を終えても安心はできません。治療法を決めねばなりません。再発・転移を防ぐのが第一。乳がん治療の入り口は進行度だけではなく、病理検査の結果。そのがんがどういう性格でどんな細胞で、かつ、どんな進み方を持つかによって細分化されているものでした。遺伝子解析ができるようになり、再発する可能性も明らかになる検査も出てきました。でも、まだ保険適用ではありません。どうすれば命が助かるのか?この治療でいいのか?大丈夫なのか?
働く世代のがんは家族も巻き込みます。子育て世代を直撃します。特に女性は非正規雇用も多く深刻です。自ら患者会などに参加しながら、乳がんと生きる患者さんの叫びもつむぎます。
この番組は、患者でありディレクターである阿久津友紀自身が、告知、手術中までもをカメラで映し、取材先としての乳がん患者への感謝と敬意、使命感を持って取り組んだ渾身のドキュメンタリーです。

 

【ディレクター・ナレーション】
阿久津友紀(患者本人)

 

【初回放送】HTB:2020年5月9日(土)