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#75

都の歴史を育んだ鴨川~空海・秀吉・祇園~

京都の中心を南北に貫く「鴨川」。千二百年にわたる都の歩みに寄り添いながら絶え間なく流れ、今も人々に親しまれています。今回は、歌舞伎俳優の坂東彌十郎さんが、鴨川を上流から下りながら、都の長い歴史を辿る旅。鴨川が都の雅な文化をいかにして育んできたのか探ります。
鴨川の“最初の一滴”と出会えるのは京都市の北山連峰のひとつ、桟敷が岳。その中腹に位置する、空海が開いた寺院「雲ケ畑 志明院」。鴨川の源流のひとつ、神降窟の岩から滲み出る、清らかな“はじまりの一滴”と対面。
鴨川の流れは山あいを抜け、都へ。続いては向かったのは、鴨川の水にとって重要な役割を担う場所、世界遺産「上賀茂神社」。鴨川から境内に引き込まれた水はこの神社を抜け、再び鴨川へ。そのワケとは一体?

この鴨川は、三条から六条の間で、多くの都人の喜怒哀楽や、人生の明暗を見つめてきました。いにしえの人々の様子が分かると訪ねたのは「六道珍皇寺」。拝見したのは、室町時代後期の作と伝わる「珍皇寺参詣曼荼羅」。なぜ、六道珍皇寺に多くの人がお参りに訪れたのか。その秘密は、この寺が建つ場所に。ここが「冥界の入り口」と呼ばれた理由とは?
処刑場として使われることもあった鴨川の河原。中でも歴史に残るのが、かの豊臣秀吉が関わった悲劇。東北一の美女と謳われた姫の悲しき物語とは?
さらに川を下ると、京都でも指折りの繁華街・四条。その河原では、歌舞伎や浄瑠璃などの芸能文化が華開き、周辺に花街が誕生したのにも、深い理由が。
旅の仕上げは、鴨川からほど近い祇園の食。訪れたのは、日本料理「水の」。2023年8月にオープンしたばかりでミシュラン一つ星を獲得した名店で、秋の味覚を堪能。
発見の連続、彌十郎さんも大感動の旅です。


【専門家出演者】
●歴史作家
 河合 敦さん