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#167

平等院鳳凰堂 今明かされる千年前の姿

 世界遺産にも名を連ねる国宝「平等院鳳凰堂」は、戦乱や天災などの被害をまぬがれ、およそ千年に渡って今に伝わる、まさに奇跡の建造物。実は近年の研究により、創建時の姿がより明らかになってきているんです。そこで旅人の尾上右近さんが、鳳凰堂の発掘調査にも携わった京都芸術大学の杉本宏先生と共に、千年前の姿に迫ります。
 平等院鳳凰堂といえば、誰もがまず思い浮かべるのが、10円玉。その表には平等院鳳凰堂が描かれていますが、実は現在の姿とは違う部分があること、ご存知でしょうか? そこにはこのお堂を今に伝えるための歴史が秘められていました。
 改めて鳳凰堂を見てみると、中央のお堂と、左右に伸びる翼廊という他ではあまり見ない変わった形をしていますが、実はこれ仏教の経典に記された、極楽浄土の建物を再現したもの。杉本先生が平安時代の地層を調べた所、創建時は現在よりもさらに極楽浄土の建物に近づける工夫があったと言います。それは一体? そんな鳳凰堂の中には、亡くなった人を極楽浄土へいざなうとされる阿弥陀如来が祀られていますが、その阿弥陀さまのお顔を見られる窓にちょっと不思議な点が・・・。正面から立って見ると、お顔の位置がややズレて見えてしまうのです。それは一体なぜなのか? そこには、なんと天下人、豊臣秀吉との関わりがあったんです。

 そして平等院の境内には、阿弥陀さまが祀られている鳳凰堂の中の創建時の姿を再現した場所が。外見にも負けない、お堂の中の美しさに右近さんも目をみはります。2022年に発表されたばかりの驚きの新発見も。今では失われてしまった幻の技法が使われていたと言うのです。
 鳳凰堂の長い歴史の中には、実は廃絶の危機を迎えたこともあるのですが、その危機を救ったお寺が平等院の境内に。廃絶の危機はいかにして乗り越えられたのか、貴重な秘話を伺います。
 また、創建時の物が残っている可能性のある、番組初登場の建物も訪ねます。
 国宝、平等院鳳凰堂の千年前の姿を解き明かす旅、ぜひお楽しみに。

 
【専門家出演者】
●京都芸術大学 芸術学部歴史遺産学科 教授
杉本宏 さん