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#96

土方歳三・鬼の副長の素顔

激動の幕末、京の治安を守った新選組。局長・近藤勇を支え、実質的に隊を取り仕切っていたのが土方歳三。今回は“鬼の副長”と呼ばれ恐れられた土方の素顔に迫ります。
まずは、新選組はじまりの地「新徳寺」へ。江戸から京に着いたばかりの近藤や土方ら13名の浪士たちは、ここで京に残り将軍のために働く決意をします。
新選組の屯所であった「旧前川邸」。近藤直筆の文字が残される戸板からは、意気揚々たる決意が窺えます。一方で土方は、鉄の掟をつくり隊の秩序を保つために心を鬼にします。旧前川邸の蔵で尊王攘夷派の志士に拷問とも言える取り調べを行なった土方。その行動に隠された真意とは?
「霊山歴史館」では池田屋事件の模型を見ながら、事件の全貌を解説。池田屋では絶体絶命のピンチに陥った近藤を救った土方。その後も近藤を支え続けます。しかし、盟友・近藤は新政府に処刑されてしまいます。
近藤の死を知り、戦いの鬼と化した土方。しかし彼は本当に鬼だったのか?
その真の姿を探るべく、京都を飛び出し故郷である東京・日野へ。土方の生家に建つ「土方歳三資料館」を訪問。若かりし日に土方が植えた矢竹や、相撲の訓練に使っていた柱を拝見。さらに稽古で使っていた木刀に掘られていたのは武士の魂と言える「義」の文字。また、土方の習得した剣術・天然理心流の免状に「義昌」という見覚えのない名前を発見。そこに秘められた家族の思いとは? 
土方家で代々受け継がれていた漢方薬「石田散薬」。生家の近くを流れる河原では、その原料である草を刈り取る際、土方の才覚が発揮されたというエピソードを教えていただきます。そして土方が上洛前にまとめた「豊玉発句集」。この俳句集は“鬼の副長”の異名からは想像できない恋の句があるなど、意外な人物像が浮き彫りに。
他にも土方が家族のために買った京みやげや大好物の漬物を紹介。新政府軍との戦いの最中には「母のよう」と部下に慕われた記述も。そして、愛刀・和泉守兼定には、最後まで諦めずに戦った土方の姿がありました。
「鬼の副長」として恐れられた土方歳三。胸に秘めた盟友への想いに触れ、知られざる素顔を探る旅へ出かけます。
 
【専門家出演者】
●土方歳三資料館 館長
土方愛さん