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#74.1

都に眠る 天皇と武将の宝 前編

この春、令和の時代が始まり、上皇ご夫妻は6月に京都へ。孝明天皇陵と明治天皇陵を参拝し、退位を報告されました。かつて代々の天皇が暮らした京都は皇室ゆかりの地。そこで今回は中村芝翫さんが、この地に眠る天皇や貴族のお宝を巡る旅へ。貴重な品々から、それぞれの偉人たちの「知られざる素顔」を浮き彫りにします。
天皇家に縁が深く、その葬祭に古くから関与してきた泉涌寺はこの6月、上皇ご夫妻も訪ねた寺です。ここで出会ったのは、江戸時代初期、幕府との関係性に翻弄された後水尾天皇と、京都に生まれ育った最後の天皇、明治天皇の念持仏。その由来に秘められた意外な物語とは?
 

代々皇族や摂関家が門主を務め、時の天皇の仮御所ともなった格式高い寺院が左京区の聖護院門跡。そこには、江戸時代中期から後期に在位し、博学多才なことで知られる光格天皇のお宝が…。天明の大飢饉の際、幕府に民衆救済を申し入れ、明治維新の源流を作ったとも言われ、しかも令和の即位に関係する天皇。その光格天皇が自ら刻まれたという仏と対面。
東山の名刹、東福寺塔頭の一つ、同聚院には、平安時代を代表する貴族、藤原道長のお宝がありました。当時、栄華を極めた道長を象徴するのが、「この世をば…」から始まる望月の歌。その歌と、出会ったお宝との不思議な関わりとは?
 さらに藤原氏の流れをくむ貴族出身の僧侶、親鸞のお宝と出会えるのが、伏見区日野にある法界寺。「日野のお薬師さん」とも呼ばれ、親しまれているこの寺が守り継ぐのは、親鸞が幼い頃に親しんだと伝わる阿弥陀如来像。親鸞の数奇な運命とその仏との物語が明らかに。
 また、天皇ゆかりの雅な伝統和菓子、小豆好きな親鸞聖人にちなんだお饅頭も堪能。時代を超えて、偉人達の深い思いを巡る旅です。

【出演】
京都仏像ガイド 政田マリさん
京都産業大学 法学部准教授 久禮 旦雄さん