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#13

嵐山と嵯峨野 渡月橋に隠された物語

いにしえより風光明媚な地として知られ、平安貴族の別荘地としても親しまれてきた嵐山。なかでも桂川にかかる渡月橋はこの地を象徴する風景。そして嵯峨野もまた豊かな水と青々とした野山が織りなす場所。嵐山と嵯峨野を歩き、長きに渡り培われてきた歴史をひも解きます。
渡月橋を渡り、まず訪ねるのは世界遺産としても有名な天龍寺。14世紀からの歴史を持つこの寺には、朝廷が南と北に別れた「南北朝時代」にまつわる物語が秘められていました。そしてあの渡月橋は昔、この寺の境内に含まれていたと伝わります。そんな天龍寺の境内に門を構える小さな寺「妙智院」にあるのが「西山艸堂(せいざんそうどう)」という湯どうふの老舗。静けさ漂うお寺の中で、温かな湯どうふに舌鼓を打ちます。
木漏れ日が差し込む青々とした竹林もまた、嵐山でよく知られる風景。清々しい空気に満ちた竹林を通りぬけ、訪ねるのは「野宮神社」。この神社のシンボルという黒い鳥居には、平安時代から続く神社の歴史が秘められていました。
そして嵐山から少し足を伸ばして嵯峨野へ。平安時代よりこの地で1200年もの時を重ねてきた寺院「大覚寺」を訪ねます。明治時代までは皇族が住職を務めた皇室ゆかりの門跡寺院であるこの寺は、豊かな自然と歴史ある建物が美しく調和し、時代劇を中心に映画やドラマのロケ地としても度々使われてきました。
そんなこの寺で、古くから伝えられる貴重な調度品や、美しいふすま絵、さらにこの地が「嵯峨」と名付けられる由来と言われる嵯峨天皇ゆかりの貴重な品を見せて頂きます。
そして再び、嵐山へ。渡月橋のすぐ近くに門を構える「法輪寺」は、奈良時代に起源があるという歴史ある寺。毎年4月、13歳になった男女が福と智恵を授かりにお参りに来るという「十三詣り」の習わしを今に伝えます。そしてこの寺は、渡月橋の歴史とも深く関わっていたのです。
今なお多くの人に親しまれる嵐山、嵯峨野を歩き、この地で育まれた、美しい自然と、渡月橋に秘められたはるかな物語を訪ねます。