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#12

伏見稲荷大社を歩く

1300年以上にわたり、人々の信仰を集め続けている「お稲荷さん」。その総本宮である「伏見稲荷大社」を巡りながら、そこに伝わるはるかな物語をひもときます。
まず訪れたのは「本殿」。中には、五穀豊穣(ごこくほうじょう)の神を中心とする、五柱の神様「稲荷大神(いなりおおかみ)」がまつられています。また、ここでは全国の稲荷大社で見かける、きつねの像と稲荷大神のかかわりを教えていただきました。そのきつねを、境内で唯一まつっている「白狐(びゃっこ)社」をお参りします。そして、訪れたのが、多くの鳥居が建ち並ぶ「千本鳥居」。これだけの鳥居が建てられた尊い理由とは?そんな鳥居をくぐった先に置かれているのは「おもかる石」。石を持ち上げた時に、その重さで願いがかなうかどうかがわかる、という言い伝えがありました。
伏見稲荷大社の参道には、いくつもの歴史あるお店が軒を連ねています。「稲福」では、いなり寿司の形の由来を教えていただきました。その隣に建つのは、大正時代より続く「総本家いなりや」。そこで作られていたのは、神様の使いであるきつねの顔が刻まれた「きつね煎餅」。江戸時代創業の老舗、「丹嘉(たんか)」では、日本の土人形で、もっとも古い歴史を持つと言われる「伏見人形」を見せていただきます。この人形を作る型は、江戸時代から使われ続けているものなのだとか。
再び「伏見稲荷大社」の境内へ戻り、稲荷信仰始まりの場所である「稲荷山」へ。縁起のいい方向を知れるという「こだまヶ池」や、絶景を望める「四ツ辻(よつつじ)」を訪れます。さらに杉の木をまつる「大杉(おおすぎ)社」では、伏見稲荷大社と杉の木のつながりを教えていただきました。稲荷山の至るところで見かける小さなほこら。「御膳谷奉拝所(ごぜんだにほうはいしょ)」には、数多くのほこらが収められていたのです。この場所にほこらが並ぶ訳とは? さらに「眼力(がんりき)亭」と「おせき社」は、歌舞伎役者にとってゆかりの深い場所だといいます。そして、奈良時代に伏見大神が降り立ったといわれる一ノ峰上乃社(いちのみねかみのしゃ)へ。
いにしえより人々の信仰が育まれてきた「伏見稲荷大社」。その境内を歩き、歴史とともに残される、いにしえの面影をめぐります。