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#11.12

秋の2時間スペシャル
平等院鳳凰堂と伏見稲荷 いにしえからの祈り

今回は、2時間スペシャル。はるか1000年以上、人々の信仰を集め続ける「伏見稲荷大社」。そして、名高い「平等院」をはじめとする、宇治川のほとりに建つ数々の寺を訪ね、そこで受け継がれるさまざまな物語と出会います。
まず訪れたのは、伏見稲荷大社の「本殿」。中には、五穀豊穣(ごこくほうじょう)の神を中心とする、五柱の神様「稲荷大神(いなりおおかみ)」がまつられています。また、ここでは全国の稲荷大社で見られる、きつねの像と稲荷大神のかかわりを教えていただきました。そのきつねを、境内で唯一まつっている「白狐(びゃっこ)社」をお参りします。そして訪れたのが、多くの鳥居が建ち並ぶ「千本鳥居」。これだけの鳥居が建てられた意外な理由とは? 伏見稲荷大社の参道には、いくつもの歴史あるお店が軒を連ねています。「稲福」では、いなり寿司の形の由来を教えていただきました。その隣に建つのは、大正時代より続く「総本家いなりや」。そこで作られていたのは、神様の使いであるきつねの顔が刻まれた「きつね煎餅」。江戸時代創業の老舗、「丹嘉(たんか)」では、日本の土人形で、もっとも古い歴史を持つと言われる「伏見人形」を見せていただきます。そして、稲荷信仰始まりの場所である「稲荷山」へ。縁起のいい方向を知ることができるという「こだまヶ池」や、絶景を望める「四ツ辻(よつつじ)」を訪れます。さらに杉の木をまつる「大杉(おおすぎ)社」では、伏見稲荷大社と杉の木のつながりを教えていただきました。稲荷山の至るところで見かける小さなほこら。「御膳谷奉拝所(ごぜんだにほうはいしょ)」には、数多くのほこらが収められていました。さらに「眼力(がんりき)亭」と「おせき社」は、歌舞伎役者にとってゆかりの深い場所だといいます。そして、奈良時代に伏見大神が降り立ったといわれる一ノ峰上乃社(いちのみねかみのしゃ)へ辿りつきます。
続いては、宇治へ。まず訪れたのは、誰もが思い浮かべる寺「平等院」。中でもよく知られるのが阿弥陀堂。まるで鳳凰が羽を広げたような姿の建物は「鳳凰堂」と呼ばれ、平安時代の貴族、藤原頼通の強い思いが込められていました。この寺の境内にある塔頭・浄土院では、普段は見ることのできない、貴重な藤原頼通の像を拝見。また平等院ミュージアム鳳翔館では、かつて鳳凰堂の内部にあった雲中供養菩薩像をはじめ、数多くの国宝を見せて頂きます。宇治川のすぐ近くにあるのが「橋寺(はしでら)」と呼ばれる「放生院(ほうじょういん)」。今から1400年以上前に開かれた聖徳太子ゆかりの寺。美しい本尊の胎内には、聖徳太子が持っていた仏像が納められていると伝わります。そんなこの寺が「橋寺」と呼ばれるのは、宇治川に架かる「宇治橋」と深いゆかりがあるから。寺と橋との繋がりを示すものとは。橋寺の近くにある「恵心院(えしんいん)」は、弘法大師空海が開いたという歴史ある寺。のちにこの寺を再興した名高い僧侶の貴重な木像を見せて頂きます。大きな石門が訪れる人を迎える「興聖寺(こうしょうじ)」は鎌倉時代の初め、日本曹洞宗の開祖、道元禅師が開きました。禅の道場としても名高いこの寺では、今なお禅の修行が行われているのです。また道元禅師の遺骨が納められているという、等身大の木像も拝見。そして源氏物語「宇治十帖」の舞台と言われる場所と、深い関わりがある貴重な観音像に出会います。江戸時代に創建された萬福寺は、中国から日本へインゲン豆を伝えたことでよく知られる隠元禅師が開いた寺。異国情緒の漂うこの寺で見つけた、木魚の原型と言われるものとは? さらに隠元禅師が伝えたという中国風の精進料理と、私たちに馴染み深い「お茶」を頂きます。
幾世紀もの歴史を刻む「伏見稲荷大社」や「平等院鳳凰堂」などをめぐり、いにしえの面影に思いを馳せます