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#11

平等院鳳凰堂と宇治の寺

京都の中心地から南…いにしえより栄え、茶の名産地としても知られる宇治。そんなこの地を静かに流れる宇治川沿いに建つ、はるかな時を重ねてきた歴史ある寺を訪ねます。
まず訪れたのは、宇治といえば誰もが思い浮かべる寺「平等院」。中でもよく知られるのが阿弥陀堂。鳳凰堂の名で知られるように、まるで鳳凰が羽を広げたような美しいこの建物には、平安時代の貴族、藤原頼通の強い思いが込められていました。
この寺の境内にある塔頭・浄土院では、普段は見ることのできない、貴重な藤原頼通の像を拝見。また平等院ミュージアム鳳翔館では、かつて鳳凰堂の内部にあった雲中供養菩薩像をはじめ、数多くの国宝を見せて頂きます。
宇治川のすぐ近くにあるのが「橋寺(はしでら)」と呼ばれる「放生院(ほうじょういん)」。今から1400年以上前に開かれた聖徳太子ゆかりの寺。美しい本尊の胎内には、聖徳太子が持っていた仏像が納められていると伝わります。そんなこの寺が「橋寺」と呼ばれるのは、宇治川に架かる「宇治橋」と深いゆかりがあるから。寺と橋との繋がりを示すものとは。
橋寺の近くにある「恵心院(えしんいん)」は、弘法大師空海が開いたという歴史ある寺。のちにこの寺を再興した名高い僧侶の貴重な木像を見せて頂きます。
大きな石門が訪れる人を迎える「興聖寺(こうしょうじ)」は鎌倉時代の初め、日本曹洞宗の開祖、道元禅師が開きました。禅の道場としても名高いこの寺では、今なお禅の修行が行われているのです。また道元禅師の遺骨が納められているという、等身大の木像も拝見。
江戸時代に創建された萬福寺は、中国から日本へインゲン豆を伝えたことでよく知られる隠元禅師が開いた寺。異国情緒の漂うこの寺で見つけた、木魚の原型と言われるものとは? さらに隠元禅師が伝えたという中国風の精進料理と、私たちに馴染み深い「お茶」を頂きます。
清らかな宇治川をさかのぼり、平等院鳳凰堂と共にこの地で時を重ねる寺を訪ね、はるかな物語に思いを馳せます。