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#5.6

2時間スペシャル 銀閣寺・哲学の道と京の禅寺

今回は、2時間スペシャル。室町時代から続く「銀閣寺」と、「哲学の道」に沿って建つ、趣深い寺や神社。そして、はるか昔より人々の信仰を集めてきた、いくつかの「禅寺」を巡りながら、そこに秘められたさまざまな物語をひもときます。
京の街の東、山の麓に構える「銀閣寺」は、もともと室町幕府八代将軍、足利義政が自らの山荘として作り上げた場所。「銀閣」の名で親しまれる「観音殿」には、名前の通り観音菩薩(ぼさつ)が収められています。本堂にあたる「方丈」には、本尊である「宝冠釈迦如来坐像(ほうかんしゃかにょらいざぞう)」がまつられていました。 創建当時から残るという「東求堂(とうぐどう)」は、義政が日々思索をめぐらせていたという貴重な建物。その中にある、書斎として使われていたという「同仁斎(どうじんさい)」は、現在の和室や茶室の原点ともいわれています。そんな銀閣寺の一角で、義政の側近だった人物が確立したと言われる「香道」(こうどう)の作法や「組香」(くみこう)という風流な遊びを教えて頂きます。銀閣寺の参道の先にある「哲学の道」にも、歴史を重ねてきた寺や神社があります。まず訪れたのは、「幸せ地蔵尊」とも呼ばれる「弥勒院(みろくいん)」。江戸時代に造られた寺院です。さらに鎌倉時代に起源を持つ「法然院」は、その名の通り、浄土宗の祖・法然上人ゆかりの寺。門を入ると見えてくる白い盛り砂には、深い意味が秘められていました。40種類以上の椿が咲き誇り、「椿(つばき)の寺」とも言われる「霊鑑寺」は、江戸時代、後水尾天皇(ごみずのおてんのう)の皇女が開いたという皇室ゆかりの寺院。そこで、寺に入った幼い皇女たちが遊んだという、みやびやかな品々を拝見します。さらに平安時代から続く「熊野若王子(くまのにゃくおうじ)神社」はその名の通り、長きにわたり信仰を集める「熊野詣」(くまのもうで)にゆかりが深い場所です。あたりに漂う厳かな空気を感じながら、人々の願いに思いをはせます。

 

鎌倉時代に建てられた、名高い禅寺「南禅寺」。参道を歩くと見えてくるのが、歌舞伎の演目「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」で知られる「三門」。石川五右衛門の“絶景かな絶景かな”という台詞で知られるその場所から、間近に広がる京の街を眺めます。さらに「方丈」を訪れ、白砂が美しい、枯山水の庭を拝見します。南禅寺の境内にある塔頭(たっちゅう)と呼ばれる小さな寺「金地院(こんちいん)」。そこには、日光と同じく、徳川家康が神としてまつられる「東照宮」があるのです。さらに「開山堂」には、家康が大きな信頼を置いていた「以心崇伝(いしんすうでん)」がまつられているのだとか。そして、南禅寺からほど近い湯豆腐店「奥丹」へ。そこで知る豆腐と禅寺の意外な関係とは?さらに訪れたのは、「龍安寺」。門をくぐると、風情ある池が目をひきます。そして、誰もがよく知る「石庭」。庭に置かれた、15個の石には、さまざまな言い伝えが残されていました。「酬恩庵(しゅうおうあん)一休寺」は、とんちの一休さんとして親しまれる「一休禅師(いっきゅうぜんじ)」が再興させ、晩年を過ごした場所。幼い頃の一休禅師の像や、有名な「このはしわたるな」の物語にまつわる橋や、虎の屏風(びょうぶ)を見せていただきます。「方丈」には、一休禅師の晩年の姿を表した木像が置かれていました。そんな一休禅師が、今に伝えたともいわれる「一休寺納豆」や「ぜんざい」をいただきます。その味わいには、仏の教えとの深いつながりがありました。
いにしえの都で、長い歴史を重ねてきた「銀閣寺」「哲学の道」、そして、さまざまな「禅寺」ではぐくまれる、凜とした美しさを訪ねます。