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#4

人々の思いを集める醍醐寺

平安時代の創建から1100年以上にわたり、多くの信仰を集めてきた「醍醐寺」。広い境内に建つ、歴史あるお堂や仏像などを訪ねながら、この寺に秘められたはるかな物語をひもときます。
仁王像が立つ朱色の門をくぐり、まずは「五重塔」へ。京都に数ある五重塔の中で最も古く、応仁の乱の戦火を逃れた貴重な建造物。その中にまつられているのは、この寺と深いゆかりを持つ醍醐天皇。そして向かったのは、この寺の本堂である「金堂」。中では、薬壺を持ち、あらゆる病を癒すとされる、本尊の薬師如来が迎えてくれます。
険しい山道を登り、たどり着いたのが、「上醍醐(かみだいご)」と呼ばれる場所。ここには醍醐寺の起源にまつわる、さまざまな伝説が残るのです。
前にせりだした形の、「懸(かけ)造り」が特徴的な、「清瀧宮拝殿(せいりゅうぐうはいでん)」と呼ばれる建物の中には、弘法大師・空海が中国からもたらしたと伝わる「清瀧権現(せりりゅうごんげん)」がまつられているといいます。   
上醍醐の中で、もっとも古い建物である「薬師堂」。ここには、金堂と同じく、薬師如来がまつられていました。山道を奥へ進むと、見えてくるのが、「開山堂(かいさんどう)」。平安時代に醍醐寺を開いた「聖宝理源大師(しょうぼうりげんだいし)」がまつられている場所。弘法大師・空海の孫弟子だという、聖宝理源大師の像の横には、師である空海の像も大切に置かれていました。
「醍醐寺」の名の由来となったとされるのは、こんこんと湧き出る、清らかな水。そこに秘められた、この寺のはじまりの物語とは…?
そして、醍醐寺のほど近くにある「法界寺(ほうかいじ)」へ。境内に建つ「阿弥陀堂(あみだどう)」に残された、平安時代の貴重な阿弥陀如来。そして周りを囲う柱に描かれた仏を拝見します。
再び醍醐寺に戻り、訪れたのは、代々の座主が住まう「三宝院(さんぼういん)」。趣ある建物から望むのは、四季おりおりに表情を変える、美しい庭園。豊臣秀吉によって整備されたといいます。秀吉と言えば、その豪華さで知られる「醍醐の花見」。山の上から桜を楽しんだという建物を移築した「純浄観(じゅんじょうかん)」では、時を越えた、秀吉の思いに触れます。
平安時代から人々を見守り続けてきた醍醐寺。その境内を歩き、歴史とともに残される、いにしえの面影をめぐります。