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古都をはぐくむ上賀茂神社・下鴨神社

京の街を流れる鴨川のほとりで、いにしえより歴史を刻んできた「上賀茂神社」と「下鴨神社」。いにしえより古都をはぐくんできた、この二つの社(やしろ)をめぐり、長きにわたり紡がれてきた物語をひも解きます。
まず訪れるのは、この地の人々から「下鴨さん」と呼ばれ親しまれてきた下鴨神社。木々が生い茂る「糺の森(ただすのもり)」を歩いて進みます。この神社の正式な名前は「賀茂御祖(かもみおや)神社」。上賀茂神社の御祭神の、親にあたる神がまつられていることを示しているとか。境内には、さまざまな建物が並びます。その中心にある本殿は、東西二つに分かれた珍しい造り。それぞれにまつられた神には、はるかな伝説が残されていました。
下鴨神社には、様々なご利益で知られる、たくさんの小さな社があります。「言社(ことしゃ)」は十二支を守る干支の神。境内を流れる、御手洗(みたらし)池の上に建つ「井上社」では毎年7月、夏の風物詩として、京都の人たちにとって欠かせない「みたらし祭り」が行われます。縁結びの神をまつる「相生社(あいおいしゃ)」の前には、その御利益を象徴するような木が植えられ、不思議な言い伝えが残されていました。さらに、鎌倉時代に活躍した随筆家、鴨長明と深いゆかりのある社もありました。
そして…賀茂川のほとりを歩き、上賀茂神社へ。正式には「賀茂別雷(かもわけいかづち)神社」と呼ばれます。歴史を重ねながら、人々の思いを集める社。実は、その入り口にある「一の鳥居」に対して、「二の鳥居」は、実は少し斜めに建っているといいます。そこに秘められた、時を超えた理由とは…。境内に入ると、白砂が美しく盛られた「立砂(たてすな)」が目を引きます。平安時代より続くという、その不思議な形には、深い意味がありました。そして、本殿のすぐ近くに建つ「権殿(ごんでん)」は、本殿と形や大きさ、見た目も全く同じだといいます。その大切な役割とは…?
そんな上賀茂神社の近くには、かつて、この神社の神職を務めてきた人々が暮らす「社家町(しゃけまち)」があります。歴史ある建物を守り続けるお宅を訪れ、独特の造りを見せて頂きます。
いにしえより古都を見守り、はぐくんできた上賀茂神社と下鴨神社をめぐり、二つの社が積み重ねてきた、はるかな時をたどっていきます。