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祇園に残るいにしえの面影

京都といえば、誰もが思い浮かべるのが、みやびやかな祇園の風景。今の多くの人々でにぎわうこの街をめぐり、長きに渡り紡がれてきたはるかな歴史をたどります。
まずは、古くからこの地を見つめてきた「八坂神社」を訪ねます。飛鳥時代の創建とも伝わる歴史ある神社では、独特の造りが特徴的な本殿に参拝。さらに、様々なご利益があるという境内の小さな社をめぐります。
八坂神社の門前には、かつてのにぎわいを今に伝える店があります。室町時代に茶屋として始まった「二軒茶屋 中村楼」では、江戸時代に人気を博したという、伝統のひと品「祇園豆腐」を頂きます。同じく門前にのれんを掲げる「亀屋清永(かめやきよなが)」は、江戸時代よりおよそ400年続く和菓子の老舗。長年、八坂神社に納めてきたというお菓子を特別に見せて頂きます。さらに、この店で創業当時から作り続けられている、奈良時代に遣唐使が仏教と共に持ち帰ったという、歴史ある味わいとは?
そして祇園の風景に欠かすことのできない「八坂の塔」。その建立には、聖徳太子が関わっていたと伝わります。近くにある「八坂庚申堂(やさかこうしんどう)」は、2016年の干支、「申(さる)」と深いゆかりのある寺。本堂の奥に大切にまつられる本尊と、境内のさまざまな場所で出会うことのできる、可愛らしい「猿」との関わりは…?
風情漂う花見小路を進むと見えてくるのは、京都で最も古い禅寺「建仁寺」。日本にお茶を広めた事で知られる栄西(ようさい)が開いた寺院です。その歴史を示すように、境内の植え込みは全てお茶の木なのだとか。さらに、江戸時代に活躍した絵師、俵屋宗達の筆による「風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)」を拝見。栄西ゆかりの茶をいただきながら、枯山水の美しい庭園を眺め、禅の心に触れます。
そんな祇園から、ほど近い場所に門を構えるのが「青蓮院門跡(しょうれんいんもんぜき)」。皇室と深いゆかりのあるこの寺は、かつては広大な境内を誇っていたと言います。その一部である、古都を見守る山の上に建つ「将軍塚」には、京都の歴史の始まりにまつわる、はるかな物語が残されていました。
祇園に漂う、みやびな風情を感じながら、この地の歴史を紡いできたさまざまな場所を歩き、いにしえの面影に思いをはせます。