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#185

「ぼくの帽子」 (群馬県 霧積高原)

母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆく道で
渓底へ落としたあの麦稈帽子ですよ。    
痩山にぱっと咲けりそばの花 
 
霧積高原の宿で、ひとりの青年が、西条八十のこの詞を宿の弁当の包み紙に見つけ、母への懐かしさに立ちすくんだといいます。青年とは森村誠一、のちにこのエピソードを元に「人間の証明」を書き、ベストセラーになりました。夏から秋へと移りゆく高原で、夏の思い出にひたります。