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#121

「あじさい」(京都府 京都)

今年もあじさいの季節が訪れました。日本が原産で、よく見かける花ですが、実はあじさいを題材にした歌はさほど多くありません。開花してから花の色が変わっていく様が、移り気で不道徳なものに感じられ受け入れ難かったとも言われています。
平安から鎌倉時代にかけて活躍した歌人・藤原俊成は、あじさいと月の風情を歌にしました。

夏もなほ 心はつきぬ あぢさゐの よひらの露に 月もすみけり (藤原俊成)

俊成の子で、「小倉百人一首」の選者でもある藤原定家は、あじさいをまた別の「光」と組み合わせることで、優美な情景を浮かび上がらせました。

あじさゐの 下葉にすだく 蛍をば 四ひらの数の 添ふかとぞ見る  (藤原定家)

これらの歌の舞台となった京都では、今もあじさいや蛍が、季節を優しく彩っています。