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藤井慎介(木工作家)

伝統ある日本工芸展の新人賞を受賞した藤井慎介さんは今、注目の木工作家です。クワガタやイカをイメージしたイス、蓮の葉をモチーフにした置き台など、自然界に溢れる命を独特な視点で捉えた藤井さんの木工作品は、美術工芸品のような完成度の高い美をたたえながらも、あくまで生活の中での使い心地の良さを追求したものです。建設会社でサラリーマンをしていたという藤井さん。自分自身で木と向き合ってモノ創りをしたいと会社を辞め、技術専門校で木工の技術を学び、木工作家となりました。富士山の麓、静岡県裾野市の小さな工房が仕事場。京都で漆塗りも覚え、人気作家としては珍しく材料選びから仕上げまで、すべて自分の手で行っています。実は藤井さん、4年程前、利き手の右手を機械に引き込んでしまい、大ケガを負いました。それでも木工の仕事を続けたいとリハビリをしながら家具作りを続けてきました。「手の器用さを失い、上手に作るよりも人の気持ちに届くモノ作りを深く考えるようになった」と語る藤井さん。木をこよなく愛し、その魅力を引き出す事を、真剣に追求する木工作家のコトノハに耳を傾けます。