ミニ情報

#63

名曲セレクションⅠ

皆さんは春を待ちわびるとんな歌がお好きですか?「早春賦」も春を待ちわびる歌の一つです。
「早春賦」の詩は、大正の初めに吉丸一昌によって書かれました。歌の舞台といわれるのは日本アルプスを望む長野県安曇野です。吉丸は、中学校の校歌を作るため信州を訪れその時に見た早春の風景を詩にまとめた言われています。
「時あらずと 声もたてず まださえずることのない鶯」の意味は、どんな意味なのでしょう?
吉丸は大分県臼杵市に明治6年に長男として生まれました。明治維新の直後、下級武士だった吉丸家は刀を鍬や鎌に持ち替え荒れ地を開墾し貧しい暮らしを送っていました。
一昌の父は、一昌に一流の教育をうけさせたいと一昌の弟を養子に出し、貧しい中、一昌を中学、高等学校へ進学させます。
一昌は後に東京帝国大学の国文科に進みます。学生時代の一昌は学生服も変えずボロボロの着物を着ていました。一昌はその後、地方から出てきた若い苦学生のために衣食住はもとより、就職まで世話する塾「修養塾」を作ります。
「早春賦」に出てくる「まださえずることのない鶯」とは、志ある若者のことかもしれません。春をまちわび、これから社会に出ようとする若者たちへの一昌の応援歌なのかもしれません。