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放送内容

#99

切手デザイナー 玉木明

ハガキや封書に貼られる切手。日本では、通常の普通切手に加え、年間約30種類の特殊切手が発行されている。これらの切手には、日本の文化や歴史、四季折々の美しい自然が凝縮され、わずか数センチの一片に描かれた小さな芸術作品として多くの人々に愛されている。
そのデザインを手掛けるのは8人の切手デザイナーたち。その中心に立ち、チームを率いるのがこれまでに1000種類以上の切手を制作してきた玉木明(57)だ。今、玉木が手掛けているのは、「春のグリーティング」シリーズ。2025年春の発行に向け、制作作業はすでに1年前から始まっていた。
玉木はこのシリーズで、手書きのデザインに挑戦。春らしい草花の表現に、あたたかみのあるニュアンスを出そうとした。その工程は長い道のりだ。完成したように見えてからも、葉や花びらの微妙な配色をパターン違いで何度も何度も試す。目を向けるのは、切手だけではない。切手シートの背景やレイアウトにまでこだわり、細やかな修正を数百回も重ねていく。春、おたよりを書く様々な人に想いを馳せながら、葉書や封筒を彩る小さなキャンバスに情熱を注ぐ男の1年に密着した。