放送内容

#73

醤油職人 新古敏朗

醤油発祥の地といわれる、和歌山県湯浅町。
一時は伝統が失われつつあったこの町を、醤油の町として世界的に有名にした立役者こそ湯浅醤油代表・新古敏朗(55)だ。
 
新古は、明治14年から続く紀州金山寺味噌醸造元の丸新本家に生まれた。丸新本家は醤油の製造も行っていたが1965年に醤油事業を畳んでいた。短期間で大量に生産できる手法の登場により伝統的な醤油醸造は廃れていき、湯浅の伝統は途絶えかけていた。子供の頃から味噌づくりの作業を手伝い、5代目として丸新本家を継いだ新古は、世界一の醤油を作り日本の醤油文化を伝えていくことを決意。醤油醸造を復活させ、2002年に湯浅醤油を立ち上げた。
伝統的な古式製法をベースにしながらも、よりおいしい醤油を追い求めて原材料や製造工程において斬新なイノベーションを繰り返し、現在はフランスでワイン樽を使った醤油づくりプロジェクトにも取り組んでいる。新古の生み出す醤油は、ヨーロッパのミシュランシェフを始め、海外からも高く評価されており、湯浅醤油の工場見学には国内外から多くの観光客が集まる。
また、世界に誇る醤油文化を地元の子どもたちに知ってほしいという思いから、20年前から小学校で醤油づくりを教える取り組みを行っている。
伝統を紡ぎながらも、今の時代に生きる人に感動を与える「世界一」の醤油を作り続けるため、挑戦し続ける男の日々に密着した。