放送内容

#66

仏師(ぶっし) 宮本 我休(がきゅう)

仏師。造仏師の略称で、仏像をつくったり修復したりする彫刻家を指す。
6世紀半ば、我が国に仏教が伝来したことで日本における仏師の歴史が始まったと言われている。
以来1000年以上にわたって、仏師の哲学が仏像彫刻という伝統工芸として継承されてきた。
その伝統を未来に伝えるべく、日々仏像に向き合う男が京都にいる。
宮本我休(43)。我が強い自分への戒めとして「我を休める」という意がある。
 
幼少期から絵画やおしゃれが好きで、将来の夢は「ファッションデザイナー」。
学生時代は、芸術短期大学や専門学校で服飾を学びながらファッションイラストレーターとして活動した。
そんな我休に突然の出会いがあった。
卒業後、友人の紹介で仏師の元を訪れると、仕事のスケールに魅了され、その日から弟子入りすることに決めたのだ。
強みは、学生時代にたくさん布を触ってきた感覚だった。
それを最大限に生かし、唯一無二の衣紋表現に磨きをかけた。
2015年、9年間の修行を経て独立。
現在、時空を超えて愛される仏像をつくるために全てを仏像彫刻に注ぐ。
妻へプロポーズした時には、指輪の代わりに自作のマリア観音像にダイヤを埋め込んで渡したほど。
 
1000年を超える宗教工芸、その職人の熱意と息遣いに手仕事の伝統と可能性を目の当たりにする。